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第0057話 儀式の鍵
遺跡の中央、古びた祭壇の上に火の雨が集まり始めた。
赤黒い火の粒が天から降り注ぎ、石の上で跳ねるたびに激しい光を放つ。
空気は熱を帯び、風がざわめき、周囲の影は揺らめいている。
女の胸に、過去の断片が押し寄せる。
燃える家の記憶、夫を失った夜の痛み――
そして、仲間たちに守られている安心。
「……これは……!」
女は自らの記憶の奥底に触れ、目の前に広がる火の雨を正確に視ることができた。
赤く煌めく火の粒一つひとつが、過去の断片と未来への道筋を映し出す。
ライネルが剣を高く掲げ、低く声を張る。
「今だ! 火の雨を阻止する!」
マリーベルの炎が火の雨に対抗し、シルヴィアの短剣が隙間を突き、アリアの光が女を守る。
四人と女は、儀式を止めるため、全力で立ち向かう。
火の雨の中で女は、過去と現実、幻影と真実を同時に受け止めた。
そして初めて、自分がこの儀式の鍵であることを理解した――
恐怖と覚悟、怒りと守る力が交錯し、女の目は力強く輝いていた。




