表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/314

第0051話 言葉にならない記憶

街の外れにある古びた小屋。

夜の闇が深く落ち、風が軒先をかすかに揺らす。

女は中に入り、肩を震わせながら胸に手を当てた。


「……思い出せない……でも……」

破れた記憶の断片が脳裏をかすめる。

燃える家、叫ぶ声、そして冷たい手。

それらはまるで夢のようで、手を伸ばしても掴めない。


ライネルは静かに女の肩に手を置く。

「怖くない。俺たちがいる」

その声には確かな重みと、揺るがぬ意志があった。


マリーベルは苛立ちを隠せずに腕を組む。

「言葉にならない記憶なんて、嫌いだ。でも……今は守るしかない」

赤い炎の気配が、微かに手のひらに宿る。


アリアは女の手を優しく握り、穏やかに微笑んだ。

「どんな過去があっても、あなたは今ここにいる」

その声は、暗い夜に温かな光を落とすかのようだった。


だが、女の胸の奥では何かがざわめいていた。

夫を失った夜の断片――それが、彼女の心を無言のまま引き裂こうとしている。


震える手、揺れる瞳。

その微細な感覚が、彼女を過去へ、そして真実へと誘う――

小屋の暗がりに、静かな決意が生まれた夜だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ