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第0050話 偽りの影
四葉亭の夜は深まった。
虎の寓話を胸に、四人は女を囲み、次の作戦を練る。
だが、路地裏にはすでに別の影が潜んでいた――暗殺者でも、盗賊でもない、謎の人物。
「……奴ら、まだいる」
シルヴィアが窓の外を睨む。濡れた石畳に映る影は、一本の細い槍の先端のように揺れていた。
ライネルは静かに剣を握る。
「狙いはあの女だ。火の雨の鍵――いや、それ以上のものも狙われている」
マリーベルは拳を握り、炎の気配をまとわせる。
「今度は容赦しねえ。どんな手を使おうと、あたしが焼き尽くす」
アリアは女の手を抱き、祈りをささやいた。
「どうか……無事で……」
だがその瞬間、窓ガラスに薄い影が映った。
短剣の刃の光、手袋の指先、そして冷たい眼差し――
敵は、すでに我々のすぐそばに忍び寄っている。
「次は本気だ」
ライネルの声に重みが宿る。
「だが、虎か石か……今度は見抜く」
窓の外の雨は止んでいたが、街の闇はますます濃く、四人の前に迫っていた。
虎か石か――見かけと真実の落差が、次の戦いの序章を告げていた。
――こうして、四人は火の雨の謎と女の正体に近づく一方で、
偽りの影に追われる夜を迎えるのだった。




