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第0045話 短い矢
女の身元も、火の雨の真相も。
いずれにしても、この街の闇に繋がっている――そう直感して、ライネルは無意識に剣の柄に手をやった。
その瞬間、窓ガラスがわずかに揺れた。
雨粒とは違う、鋭い衝撃音。
「……っ!」
シルヴィアが素早く身を伏せる。
窓に突き刺さっていたのは、短い矢。
矢羽根には毒草の汁が塗られている。
「こりゃあ……歓迎が早いね」
シルヴィアが口の端を吊り上げると、マリーベルは椅子を蹴って立ち上がった。
「外に敵がいる!」
怒りを帯びた炎が、彼女の手のひらに灯る。
アリアは慌てて女を庇い、その背を守るように立った。
「もう……追っ手が?」
ライネルは深く息を吸い込み、仲間を見渡した。
「……やはり無関係じゃなかったな。この女を狙う者と、“火の雨”を呼ぶ者は同じ線上にある」
矢を放った影はすでに路地裏へ消えていた。
だがその不気味な気配だけが、四葉亭の夜に重く沈殿する。
――こうして、酒場の四人は最初の依頼を背負い、街を揺るがす陰謀に踏み込んでいった。




