表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/314

第0043話 火の雨

四人は顔を見合わせた。

ライネルが椅子をきしませて立ち上がり、怯えた女に歩み寄る。


「記憶を……失った?」

彼の声は重く、硬い。


女は首を振りながら、泣き出しそうな声を絞り出した。

「気がついたら、路地裏に倒れていて……名前も、生まれも、なにも……ただ、

誰かに追われていることだけはわかるの」


アリアの胸がちくりと痛んだ。彼女はそっと手を差し伸べ、女の冷えた手を握った。

「大丈夫です。ここは四葉亭……わたしたちがあなたを守ります」


その言葉に女は小さく頷いたが、その直後――。


再び扉が開いた。

今度は濡れ鼠のような男が入ってきた。

立派な外套に紋章を縫い込んだ肩掛け――商人ギルドの使者である。


彼はあたりを見回し、ライネルたちの卓を見つけると、

ためらいなく歩み寄った。


「四葉亭の探偵団……頼みたい件がある」

声は硬く、急を告げる響きに満ちていた。

「三日後、この街に――火の雨が降る、と予言された。

もし真実なら街は灰になる。調べ、阻止してほしい」


マリーベルが舌打ちする。

「火の雨? おとぎ話かよ」


「いや」

ライネルは女と使者を交互に見た。

「……どうやら、おとぎ話じゃ済まないようだな」


怯えた女の震えと、商人ギルドの警告。

二つの影が重なったとき、四葉亭の夜は――事件の幕開けを告げていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ