第0041話 重い足取り
四人は重い足取りで四葉亭に戻った。
夜の帳はまだ深く、石畳に残る霧が足元を濡らしている。
店の扉を押し開くと、いつもの笑い声も煙も、今日はどこか遠くに感じられた。
ライネルは肩の力を抜き、剣を背に戻す。
「……終わったのか」
安堵とともに、胸の奥の重みを感じる。
マリーベルはマントの埃を払い、炎を指先で揺らす。
「……誰も救えなかったら、どうなっていたか」
小さな溜息が、夜の静寂に溶けていく。
アリアは水の精霊を手のひらで遊ばせ、微笑む。
「でも、安らぎを与えられた……」
その声には、祈りと慰めの余韻が混ざっていた。
シルヴィアは墓標を胸に抱き、軽く肩をすくめる。
「……こんな仕事、もう二度とないといいね」
口調は冗談めいても、目の奥の静かな決意は消えていなかった。
四人は灯火の下で杯を合わせる。
赤いワインが光を反射し、静かに揺れる。
「――我ら、四元素の探偵団」
ライネルの声に、全員が頷く。
外の霧に溶けるように、酒場には静かな光が広がった。
彼らの名声は、また一つ闇を裂く光として、人々の記憶に刻まれる。
だが、心の奥底には消えぬ傷跡が残った。
救いと真実の光の陰で、見えない影が静かに忍び寄る。
それは――次なる試練の予兆であり、彼らが選んだ道の代償でもあった。
静寂の中、四人はそれぞれの思いを抱え、杯を傾ける。
闇を裂く光として、そして決して癒えぬ傷跡を胸に、
四元素の探偵団は再び夜へと歩みを進めるのだった。




