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第0039話 歴史を捏造する力

黒い影が、壁から床へと滑るように降りてきた。

死者の冷気が、神殿の空気を引き裂く。


「来るぞ!」

ライネルは剣を握り締め、踏み込みながら土の力で地面を固める。

影が触れた瞬間、足元の石がひび割れ、魔力を帯びた衝撃波が走る。


シルヴィアは軽やかに跳び、風の刃を繰り出す。

「隙を作るわよ!」

影の一部が切り裂かれるが、すぐに霧となり再び形を成す。


マリーベルは炎を渦巻かせ、床に広げる。

「焼き尽くす……!」

火の熱が黒い影を炙り、煙が立ち上る。

しかし、影は炎に反応し、より不気味に形を変えた。


アリアは祈りを口にし、水の精霊を呼ぶ。

「魂よ、安らぎを……!」

水の精霊が影に触れると、冷たい霧となって影を縛り、わずかに動きを鈍らせた。


ライネルは剣を振るい、影の中心に切り込む。

「ここが……儀式の焦点だ!」

黒い渦の中、逆さ歩きの足跡が光を帯びて浮かび上がる。

死者たちが、無理やり歩かされている痕跡が、視覚としてはっきりと現れた。


「……歴史を捏造する力……」

アリアの声が震える。

「死者の意思を奪い、罪を作り上げる……こんなもの、許せない」


影の教団は、一瞬にして攻撃を強める。

黒い腕が四人を襲い、空気が裂けるような音が響いた。


ライネルが剣で防ぎ、土の結界で衝撃を吸収する。

マリーベルの炎が絡み、シルヴィアの風が縫い、アリアの水が包む。

四元素の力が絡み合い、影の教団と初めての直接対決が繰り広げられた。


一瞬の静寂。

そして、黒い渦の中心に、祭壇のような構造が見えた。

逆さの足跡の秘密が、まさにそこに凝縮されている。


「……次に行くしかない」

ライネルが息を整え、四人にうなずく。


霧の神殿に、戦いの余韻が漂った。

影の教団の力、その恐怖、そして逆さ歩きの足跡の意味――

すべてが、次なる章での更なる試練への序章だった。

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