第0036話 死者を操る教団
傭兵探偵は一歩前に出る。
「……もう時間の無駄だ。あの若造は見捨てろ。国の秩序を乱すだけだ」
ライネルは剣を握り直し、声を低く響かせる。
「俺は命を守る義務を優先する。誰であろうと無実なら死なせはしない」
マリーベルは炎を揺らし、拳を卓に叩きつける。
「黙って見過ごすなんてできるわけない! 私たちのやることは正しいはずよ!」
シルヴィアは肩をすくめ、風を操りながら言う。
「……まあ、金のためにやるのも悪くないけどさ。正義とか義務感とか、重すぎるよ」
しかしその目には、戦う覚悟が隠せない。
アリアは静かに祈りを口にする。
「でも……処刑されれば、国は安定するのかもしれない……」
その言葉が、仲間の胸に重くのしかかる。
傭兵は片目を細め、冷たく言い放つ。
「感情で動くのか? 理想で動くのか? 現実はそんな甘くない」
四人の間に緊張の糸が張り詰める。
互いの意見の重み、義務と正義、金銭と感情――
異なる価値観が交錯し、無言の亀裂が仲間の間に広がった。
ライネルは剣を地に突き、拳を握る。
「……だが、我々は自分たちの信念で動く」
その言葉に、四人の元素の力が応えた。
炎が揺れ、風が渦巻き、土が固まり、水が静かに流れる。
霧の墓地に、互いの決意が重く響いた。
理想と現実の落差、義務と正義の葛藤――
それらを胸に刻み、四元素の探偵団は再び歩みを進める。
次なる試練、死者を操る教団との対決へ向けて。
心の亀裂を抱えつつも、彼らは暗い霧の中を進むしかなかった。




