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第0221話 “英雄の影”
アルトは膝をつき、血まみれの踵を見つめていた。
その痛みが、やけに現実的だった。
だが、足跡を残そうとしたとき――
床に、跡がつかなかった。
マリーベルが静かに呟く。
「ねえ……あんた、今、地面に触れてない」
アルトは唇を噛む。
胸の奥で、何かが軋む。
嫌な感情が、骨の隙間から滲み出す。
(俺は……本当に、生きているのか?)
炎が消え、神殿の闇が戻る。
風が、彼の耳元で囁いた。
――“英雄の踵を射られた者は、二度死ぬ”
ライネルの声が、その言葉を追い払うように響いた。
「帰ろう。答えは、まだ闇の中だ」
四人が先に歩き出す。
アルトは最後に、もう一度祭壇を振り返った。
そこには、彼と同じ顔の“英雄の影”が、微笑んでいた。




