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第0219話 “英雄再生の儀”
霧の朝は、夜よりも静かだった。
街の鐘が、遠くで低く鳴る。
アルトはその音を聞きながら、石畳の上を歩いていた。
靴底の音が、まるで墓標を叩くように響く。
仇――アモン。
死者を導く“使徒”という名を持つ者。
それは生きた人間なのか、それとも神話の影なのか。
彼にはまだ、分からなかった。
調査の始まりは、古い神殿跡だった。
四葉亭の仲間たちはそれぞれの役割を分担していた。
シルヴィアは市場へ出て情報を集め、
マリーベルは古文書の解読に没頭し、
アリアは祈りとともに死者の記録を洗い出す。
ライネルは黙って地図を広げ、遺跡への道筋をなぞった。
「アモン……それは古代の“英雄再生の儀”に仕える名だ」
ライネルの低い声が響く。
「英雄が死んだとき、踵を射られて倒れた。その矢を放った者が“導き手”となり、
英雄の魂を別の肉体へ導く――それがこの街に伝わる禁忌だ」
マリーベルが炎のような瞳で続けた。
「でも、そんな儀式が本当に行われてたなら……“死んだはずの英雄”が、
別の姿で生きてる可能性もあるわね」
アルトはその言葉に小さく息を呑んだ。
――もし父がまだ生きているとしたら。
だが同時に、胸の奥で“嫌な感情”がざらついた。
(そんなはずがあるか。俺はあの血をこの手で見たんだ)




