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第0209話 戦うことをやめさせる理由
四葉亭に戻った夜。
四人はそれぞれ杯を傾ける。
マリーベルが言った。
「嫌な感情――恐怖も、疑念も、裏切りも――それは戦う理由になる。
でも同時に、それは戦うことをやめさせる理由でもある」
シルヴィアが微笑む。
「嫌な感情は消せない。でも、それに従うか反論するかは、私たち次第」
アリアは祈りを口にする。
「赦しを拒む者もいれば、赦す者もいる。嫌な感情を祝福することもできるのです」
ライネルは短く頷いた。
「俺たちの選択は──雨が決めるのではない。俺たち自身が決める。だから俺は反論する。嫌な感情に」
雨が窓を叩き、四葉亭の空気を震わせる。
その響きの中で、誰もが自分の中の“影”と向き合っていた。




