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第0206話 誰を殺し、誰を愛したのか。
戦いが終わった時、四葉亭の前には倒れた影だけが残っていた。
雨は静かになり、瓦礫の上には血と水が混じった跡が広がる。
本物のシルヴィアは息を整え、剣を戻した。
マリーベルは杖の火を消し、煙の中で呟く。
「影は消えた……でも、完全には消えていない」
ライネルは剣を地面に置き、アリアを見る。
「どういうことだ、アリア?」
アリアは視線を落とし、短く答えた。
「私は、あなたを裏切った。赦しを選んだ」
雨が、屋根から滴り落ちる。
その水音が、静かな決着の証だった。
四人はそれぞれの足取りで、四葉亭へ戻る。
影は消えた。
だが、嫌な感情は残った。
そして、雨はすべてを覆い隠すように降り続けた。
――誰を殺し、誰を愛したのか。
雨がすべてを曖昧にしていく。




