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第0200話 私の糧になる
アシュレイがカウンター越しに酒を注ぎながら微笑んだ。
「……あなたたちの旅は、きっと嫌な感情とともにあるでしょう。
でも、それは祝福でもあるのよ」
ルシアは杯を掲げた。
「そうね。嫌な感情があるから、私は進める。
怖れも、怒りも、寂しさも……すべて、私の糧になる」
仲間たちがそれぞれに杯を掲げる。
木のテーブルに響く、乾いた音。
それは祝福の音だった。
窓の外、夜空には満天の星が瞬いていた。
嫌な感情とともに、それでも人は生きる。
その事実が、ルシアにとって最大の救済だった。




