第0020話 糸口
霧に包まれた路地の先、街灯がちらつく。
四人の足元に、逆行した足跡が絡み合い、まるで時が折り重なった迷路のようになっていた。
「……この迷宮、限界まで操作されてる」
ライネルが小声でつぶやく。手を差し伸べ、仲間の動きを確認する。
マリーベルは炎を指先に宿し、目の前の路地を焼き払うように攻撃した。
「もう逃げられないわ!」
シルヴィアは影に溶け、逆行する足跡のリズムを読み解く。
「読み切った……! この角度なら、奴は次に必ず右手前に現れる」
アリアは両手を組み、祈りを込める。
「どうか……皆が無事でありますように……」
その瞬間、ドルグが姿を現した。
黒い外套の影は揺らぎ、時間の逆行によって
何度も幻のように現れたり消えたりする。
「……ここまで来たか」
ドルグは微笑むが、その瞳には敵意が宿っていた。
ライネルは指示を出す。
「全員、連携して動け。幻覚や逆行に惑わされるな!」
マリーベルは炎を一閃させ、幻の敵を封じる。
「これで時間の罠も……!」
シルヴィアは軽やかに跳ねながら敵を追う。
「読んだ通りよ! もう逃がさない」
アリアは負傷者の手当てをしつつ、仲間を支える。
「落ち着いて……皆、無事です」
ドルグの時間操作は限界に達し、足跡の迷宮は静まり返った。
街角には、逆行していた時間の痕跡だけが残る。
ライネルは足跡を確認し、深くうなずく。
「……これで偽装も見破れた。糸口は掴んだ」
シルヴィアは影から顔を出し、笑った。
「ふふ、これで追跡も終わりね」
マリーベルは拳を握り、炎の魔法を収める。
「長かった……でも、正義は勝つ」
アリアは祈るように微笑む。
「皆がこれからも無事でありますように……」
霧の夜に、逆行の足跡だけが残される。
この痕跡は、依頼者の家族や祠の過去、そして街の秘密へと続く糸口となった。
四人は互いに頷き合い、次の行動を決意する。
「……次は、異郷への旅になるだろう」
ライネルが静かに言う。
シルヴィアがくすくす笑う。
「次も楽しみね」
マリーベルは拳を握りしめた。
「次こそ絶対に負けない!」
アリアは微笑み、祈りを込める。
「どうか皆が平穏でありますように……」
街角の霧に、また新たな逆行の足音が忍び寄る。
探偵団の冒険は、まだ終わらない。




