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第0199話 穏やかな夕暮れ
数日後。
四葉亭には穏やかな夕暮れが訪れていた。
ルシアは窓辺に座り、杯を手にしていた。
かすかな笑みを浮かべながら。
シルヴィアが隣に腰を下ろし、肩を突いて言った。
「結局さ、アンタも人間ってことだよ。
嫌な気持ちも、ぜんぶ抱えて生きてくんだ」
マリーベルが鼻を鳴らす。
「ふん、そうやって受け流せるなら苦労しないわよ。
でも……まあ、あんたが前に進めるならそれでいい」
アリアが静かに杯を合わせる。
「……嫌な感情を抱えるのは、寂しくないんだね。みんなもいるし」
ライネルは短くうなずいた。
「その足跡を、次に刻むのはお前だ。歪みも、証となる」
その言葉に、店の中が静かに満たされた。




