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第0197話 答えが灯る
夜明け前、ルシアたちは古い修道院跡に辿り着いた。
崩れ落ちた尖塔が空に黒い影を伸ばし、蔦に覆われた回廊が静寂に沈んでいる。
そこに残されていたのは、一冊の古い書物だった。
表紙は革で装丁され、無数の「e」の字が刻印されている。
震える指で開くと、そこにはこう記されていた。
――「欲望を抱くことを恥じるな。それは人を歪ませもするが、同時に人を人たらしめる火である」
嫌な感情。
それは罪でも呪いでもなく、ただ「生きること」の一部であると書かれていた。
ルシアは息をのんだ。
心の奥に、ようやく答えが灯る。




