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第0194話 お前は壊れる
その夜、再び現れた影がいた。
礼拝堂で彼女を追い詰めた、フードの人物だ。
「……やはり、まだ諦めないのか」
その声は低く、嘲るようだった。
ルシアは短剣を抜かず、代わりに紙片を掲げた。
「あなたの作った暗号、解けるかもしれない」
影は一瞬、息を呑んだように沈黙した。
「無駄だ。真実を知れば、お前は壊れる」
「違う。私はもう壊れかけた。けど……それでも、言葉の裏に潜むものを読み解くことが、
唯一の救いなのよ」
震える声ではなく、確かな意思の声だった。
嫌な感情――恐怖や自己否定に、ルシアは「反論」していた。




