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第0167話 それぞれの考え
四人は酒場の奥の席に集まり、それぞれの考えを口にした。
「正直、気が進まないわ」マリーベルは腕を組み、目を細める。
「錯覚と戦うなんて、炎で霧を焼こうとするようなもの」
「でも面白いじゃないか」シルヴィアがにやにや笑う。
「夢か現実か分からない証言。
そいつを引っぺがしたら、何が出てくるのか……ワクワクするね」
ライネルは重々しく言う。
「俺は嫌だ……。目撃が虚構なら、依頼人を傷つけることになる。
だが真実なら、我らは人の欲望の闇に踏み込むことになる。
どちらにしても、嫌な感情が残る」
アリアは小さくうなずき、静かに呟いた。
「……でも、その嫌な感情を避けていたら、きっと誰も救えない」