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第0160話 無言の合図

奥のテーブル。

そこに腰掛けていたのが、四葉亭の常連にして「探偵団」と呼ばれる奇妙な四人だった。


土の騎士ライネル。

背筋を伸ばし、暗い影をまとった眼差しで、商人を射抜く。


風の盗賊シルヴィア。

杯をくるくる回しながら、「面白くなってきたじゃないか」と口笛を鳴らす。


火の魔法使いマリーベル。

眉間に皺を寄せ、すでに小さな火花を指先に散らしている。


水の僧侶アリア。

心配そうに身を乗り出し、ラウルの手をそっと握る。


四人は視線を交わし、無言の合図で立ち上がった。


「俺は確かに見たんだ! あの騎士を刺したのは――黒衣の医師、ハンス博士だ!」

ラウルは叫ぶ。


「けれども……」ライネルが低く唸る。

「博士はその時刻、城下町の薬師組合で会議に出ていた。十人以上が証言している」


「証言が証言を食い合ってるわけね」シルヴィアが口角を上げる。

「まるで笑い話だ」


マリーベルは苛立ったように杯を叩きつけた。

「じゃあこいつは嘘をついてるって言いたいの? それとも……夢でも見てたっての?」


「夢じゃない……俺は確かに見たんだ……!」

ラウルの声は震え、涙に濡れていた。

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