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第0147話 旧い下水道
旧い下水道への入口は、腐臭と湿気に包まれていた。
松明が壁の苔を照らし、水滴が落ちる音が響く。
「……ここは、修道士たちが封じたはずの場所」
アリアが眉をひそめる。
「なぜ、再び開いているの……?」
「封じを破れる奴がいるってことだ」
シルヴィアが短剣を抜き、警戒を強めた。
「つまりは本物の連中が動いてるってことさ」
バネッサの胸は早鐘のように鳴っていた。
虚構であったはずの依頼が、現実の闇と重なり始めている。
「……まさか、本当に……?」
自分の嘘が、真実に引き寄せられるように形を変えていく。
その不気味さに、彼女は身震いした。