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第0134話 弱点は盾にも剣にもなる
戦いの霧が徐々に晴れていく中、血の匂いだけが街に残った。
石畳には深く刻まれた足跡と、赤い染みが広がっている。
エッジは仲間たちとともに、深く息を吐いた。
足首に痛みが走るが、今はそれを押し殺す。痛みは「弱点」であり、同時に「力の証」でもあった。
ライネルが重く言った。
「お前は今、過去と向き合った。嫌な感情に負けずに立っている。それ自体が突破の証だ」
シルヴィアは笑みを浮かべ、肩を竦める。
「ま、俺たちの工夫はシンプルよ。怖がって動かないより、動いて学ぶこと。足を引きずっても前に進むやり方を探しただけだ」
マリーベルは炎を揺らしながら補足する。
「力で殴るだけじゃない。知恵を使うの。足の弱点を逆手に取る──その瞬間、敵は戸惑う」
アリアは静かに微笑み、祈りを口にした。
「弱点は恐怖だけじゃない。受け入れ、変化させることで、力に変わる」
エッジはその言葉を胸に刻む。
――弱点は盾にも剣にもなる。