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第0132話 新たな力
戦いは視界を奪われながらの混乱だった。
ライネルの剣は霧を裂くが、すぐに視界が閉ざされる。
シルヴィアは軽快に動くが、影の一人が背後を狙っていた。
「後ろだ!」
エッジの叫びに合わせ、マリーベルの炎が燃え広がり、霧の一角を焼き払う。
赤黒い霧が悲鳴を上げるかのように後退した。
「……やっぱりただの煙じゃないのね」
マリーベルは額に汗を浮かべながら呟いた。
「血と呪詛を媒介にした“生きた霧”よ」
アリアは必死に祈りの言葉を紡ぎ、霧に覆われた仲間たちを浄化の光で照らした。
その光に守られながら、エッジは前へ出る。
だが、足の痛みが強まり、膝が崩れそうになる。
霧の向こうから、再び声が響いた。
「お前の足は過去の罪だ。その弱点を突かれれば、お前は永遠に立ち上がれない」
嫌な感情――後悔と恐怖が全身を締め付ける。
それでもエッジは剣を構え直した。
「……俺は、もう逃げない!」
その叫びが、仲間たちに新たな力を与えた。