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第0109話 暗号が現実と同期しているかのよう
四葉亭の奥の薄暗い小部屋に、四人は腰を下ろした。
ライネルは羊皮紙を広げ、数字と文字を逆順に並べ直す。
「ここが怪物出現の座標……暗号が示すのは、座長の意図と、舞台の仕組みだ」
シルヴィアは肘をつき、額に手を当てる。
「見た目はただの数字だけど、意味は重すぎる……怖いわ」
マリーベルは指先の炎を揺らめかせながら、暗号の影を壁に映す。
「油断すれば、恐怖と怒りが怪物を増幅させる……」
アリアは手を組み、静かに祈る。
「犠牲者を出さないために、私たちの心を乱さずに」
四人の間に沈黙が漂う。
外の霧が窓を揺らし、街路の影が部屋の中に入り込む。
まるで暗号が現実と同期しているかのようだった。