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第0107話 怪物の輪郭
ライネルは暗号の数字を組み合わせ、抜けている部分を推測して書き加える。
文字が浮かび上がる。
──「虚構を恐れるな。虚構と現実の境は、思考の中にある」
シルヴィアは眉をひそめ、声を震わせる。
「……この怪物、私たちの恐怖そのもの?」
マリーベルの炎が壁に映る影を揺らめかせる。
「怒りが増幅すれば、制御不能……恐怖が実体化する」
アリアは静かに頷く。
「私たちの感情が怪物を形作っている……なら、私たちの意志で制御できる」
窓の外、黒い影が走る。
多くの首と顔が絡み合い、半透明の怪物の輪郭が霧に浮かんだ。
「……始まったな」ライネルの声が静かに響く。