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第0106話 暗号を象徴する小道具
劇場に忍び込むと、舞台装置は不可解に配置され、暗号を象徴する小道具が所狭しと並んでいた。
首が絡み合った影のようなオブジェが床に置かれ、光が反射して床に複雑な模様を描く。
「……これを通り抜けなければ、座長の居場所には辿り着けない」ライネルが剣を握る。
シルヴィアは笑いながらも目を細め、台詞の指示を耳で追う。
「逆に言う? 言い間違えを題にする? なんかゲームみたいね」
マリーベルは炎を操り、影を照らす。
「油断するな……舞台が歪むたび、影が怪物の形を帯びる」
アリアは手を合わせ、祈るように目を閉じる。
「心を乱さず、恐怖を増幅させないように……」
影は時折、人の形を取り、まるで生きているかのように動く。
その視線の奥で、座長の気配が漂っていた。