表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/172

第0101話 劇場〈数列の影〉

霧は夜の街路に重く垂れ込め、石畳を濡らして鈍く光っていた。

ライネルは深く帽子をかぶり、手元の羊皮紙を確かめる。

「暗号は……すべて、劇場の座標を示している。これを読み解かなければ、座長の居場所も、怪物の正体もわからない」


シルヴィアは軽く笑いながら肩をすくめる。

「真面目だね。あたしは直感で動くタイプだけど……こういう緊張感は悪くないわ」


マリーベルは指先に火花を灯し、紙面を照らす。

「直感も結構だが、油断すれば怪物に飲み込まれる。準備は万全に」


アリアは祈るように手を組む。

「犠牲者を出さないために……心を静めて」


霧は濃く、街灯の光も届かず、足音だけが静かに反響する。

四人の影は互いに絡み合い、まるで夜の迷宮を歩くかのように伸び、曲がり角ごとに消えたり現れたりする。

遠くで犬の遠吠えが、暗号が指す不吉な予兆のように響いた。


「……ここからが、試練の始まりだな」ライネルが低くつぶやく。

シルヴィアが肩をすくめ、眉をひそめる。

「ふふ……どんな顔が待ってるのかしらね」


霧の向こうに、異様な存在感を放つ劇場〈数列の影〉の屋根が浮かび上がる。

四人は互いに目配せをし、息を整えて潜入に備えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ