そして、生まれます
なんか、だらだらな物語になってますが、もうちょっとがんばりますんでお付き合いいただけたら嬉しいです
おじいさんが山から帰ると、おばあさんが出迎えてくれました。
熱烈な歓迎。
熱い抱擁。
あ、気持ち悪いとか言っちゃだめです。
おじいさん、おばあさんって便宜上言ってはいるものの、実年齢が上ってだけで、二人とも若者の姿なのです。
穏やかな雰囲気だけど、怒ると怖い男性と、意外とツンデレ女性の組み合わせ。
うむ、萌える(??)
まぁ、そんな感じで熱烈抱擁をしているときに、おばあさんはおじいさんの片手がふさがっているのに気づきました。
小脇に抱えられた、かわいらしい玉のような赤ん坊。
それを見た瞬間、おばあさんはとまりました。
まるで、彫像のようにピクリともしない体。
不思議に思っておじいさんが顔を覗き込むんだときでした。
そこに鬼がいたのです。
自分の命が消える音を聞いた・・と後におじいさんは語ったそうです。
揺らめくオーラ。
灼熱の熱風。
物理的な質量さえも伴うその怒りに比例し、おじいさんの顔はみるみるうちに青ざめていきました。
某ゲームの、「かゆ・・・うま・・・」ってつぶやく人たちと同じくらいの青白さ。
死の直前です。
おじいさんはジャンピング土下座を繰り出しました。
世界土下座選手権王座に輝けるくらいのレベルです。
でも、おばあさんのオーラは留まることを知りません。
「おじいさん・・・・???」
とても美しい笑顔。
でも、いつもは心がときめくその表情を見ても、おじいさんはぜんぜん嬉しくはありませんでした。
なぜなら、恐怖で心臓が止まりそうだったから。
追い討ちをかけるように、おばあさんの声が優しく響きます。
「その子は、だぁれ??」
柔らかい口調。
でも、その温度は凍てついています。
ブリザードなんて目じゃないです。
温暖化なんて、一瞬で解決しそうな、そんな怒り。
死の恐怖にあえぐおじいさんは、震える声をなんとかのどの奥から搾り出すと、事情を説明しました。
光る竹、襲い掛かる闇、それから光を守ったこと・・その話を聞くうちに、おばあさんの顔は冷静になっていきます。
「おじいさん」
落ち着いた声。その声にはもう怒りは含まれてはいませんでした。
真剣な、色。
その声に反応し、おじいさんははじかれたように顔を上げます。
「・・・うむ」
二人に会話はありませんでした。
でも、言葉なんて、二人の歩いてきた時間には不要なものなのです。
その思いは、その心は、いつも一緒だったのですから。
凛とした表情のおばあさんを見て、「やっぱきれいやわ~~」って心の中でほくほくしていたおじいさんは、視界の隅にあるものを見つけました。
ってか、視界の隅どころか部屋の真ん中にどっかりと置かれている存在。
大きな桃です。
とてもおいしそうなでっかい桃です。
おじいさんは言います。
「HEY,まいすぅい~とはに~、この桃はなんなのだYO?」
よくわからない言語を話すおじいさんを華麗にスルーすると、おばあさんは言いました。
「実は・・・かくかくしかじか」
おじいさんは驚きます。
おばあさんが、ほんとにかくかくしかじかしか言わなかったことに。
でも、なんとなくわかりました。
愛は偉大なのです。
で、さっそく食べることに。
とりあえず、切れ味鋭い包丁の切っ先を桃に向けると、桃が動きました。
ピョンピョンはねながら、おじいさんから遠ざかります。
でも、おじいさんはただのおじいさんではなかったのです。
ネオ・じじぃ・ユニバースなのです。
縮地という移動方法で一気に近づくと、鞘が無い状態から抜刀術を繰り出します。
某漫画で勉強したやりかた。
しかし、意外とうまくいったのです。
が、ここで問題が。
圧倒的なくらい、刃が短い。
桃の中まで貫通なんてする分けないのです。
物理法則に逆らえず、周りの部分だけ切っていく刃。
そして、すっごい勢いで、桃が真っ二つに割れ・・・中から玉のような元気な男の子が。
桃から生まれた桃太郎。
この物語の主人公が、ようやく誕生した瞬間でありました。めでたしめでたし・・・・まだ終わらないけども(・_・。)(._.。)(・_・。)(._.。) ウンウン