新入生、登場。
突如、学園長から告げられた衝撃の真実。学園生活を終えるまで、元の世界に帰れないことになってしまった。
「いやいや!!冗談じゃない!!学園生活を終えるまでって……年単位ですよね!?俺の高校だってあるし、それに、家族とだって……」
「あ、それなら心配ないよ。学園生活を終えた暁には、君の記憶を消して、元の時間にちゃんと帰すから。なーんにも問題は残らないよ。ケケケ。」
叫ぶ真に対して、学園長はのほほんとした雰囲気で笑って答えた。
「で、でもそんな……」
すると、誰かが部屋の扉をコンコンとノックした。現れたのは、頭が青白い人魂のスーツを着た男だ。
「失礼します。学園長、新入生の迎えにきました。そちらの子が?」
「おお、タマシイ先生。彼が特別生徒の嘘川 真君だ。」
タマシイと呼ばれた先生は真の前に立つ。そして、真をジロジロと見ている。
「……あの、なにか?」
「いや、なに。人間の生徒を受け持つのは初めてなものでな。目の色は黒色……髪も黒色……翼はない。角もない。」
「受け持つ?」
真が聞き返すと、学園長がタマシイ先生の紹介をした。
「真くん。こちらはタマシイ先生だ。君の担任の先生だ。」
「ん……あぁ、挨拶が遅れた。俺はタマシイ。教科は歴史担当。よろしく頼む。さて、入学式まで時間があまりない。急ぐぞ。服を着替えろ。」
タマシイ先生は簡単な自己紹介をした後、真の制服を渡した。制服はなんというか、ローブのような感じで、ネクタイはオレンジ色だ。全体的に色は黒である。
「え、で、でも、俺はまだ入学するなんt」
「時間が無い。早く着替えろ。」
遮られてしまったため、仕方無く真は着替えることにした。
「ふむ。サイズは大丈夫そうだ。流石の腕前だな。さぁ、いくぞ。」
「あ、ちょっと!」
タマシイ先生に手を引かれ、真はほぼ強引に連れていかれた。
連れていかれた先は体育館のようなところで、椅子がずらりと並べられている。ところどころにゾンビや骸骨の置物があり、全体的に薄暗い。明かりはロウソクのみで、しかも、ステージの上にしかない。薄暗い中で足元に気をつけながら、真はタマシイ先生について行く。
「お前の席はここだ。これから式が始まる。お前がすることは、名前を呼ばれた際に返事をして起立すること、それだけだ。」
真の返事も聞かずに、タマシイ先生はスタスタと壇上に上がって言ってしまった。そして、タマシイ先生がマイクをとる。
「お待たせ致しました。ただいまより、入学式を開式致します。それでは、学園長より、新入生の呼名をして頂きます。新入生は名前を呼ばれたら立つように。」
タマシイ先生は学園長にマイクを渡した。
「えー。それでは、新入生の呼名を行います。まずはA組から。」
そうして、学園長が新入生の呼名を行っていく。どうやら、真は順番的に見てD組のようだ。
呼名が行われる中、いよいよ真の番が来た。
「えー、続いてD組。嘘川 真君。」
「は、はい!」
もう、ここまで来たら返事をするしかない。真は文句を言うのは後にして、とりあえず周りに合わせることにした。すると、周囲の視線が真に集中する。