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ヤンデレ狐は今日も笑顔  作者: 豊穣とくし
第一章
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第一話

主人公の穂谷野ほやの 天仁あまとは仕事帰りに突然襲われる

それは彼女だった、何かがおかしいと感じた天仁は彼女に理由を尋ねようとするが―――

不思議な力を持ちながら闇の深い彼女との日常生活

ふと目が覚めた。ベッドの上だと気が付いて俺は刺されたはずの腹部を確認したが傷は無い。

(夢にしてはリアルだったな―――)

ベッドの横には椅子に座って転寝している彼女がいる。

金髪に獣の耳と尻尾がある()()の彼女だ。

 夢の中の彼女は人間で黒髪の小柄な子だったなと考えながらベッドから起き上がろうとしたときに彼女の声がした。

「...う、うーん.....」

椅子に座っている()は何か譫言を言っているようだが聞き取れない。

「可愛い寝顔だ」

天仁は彼女の顔を覗き込みながら頬を指でつついてみた。

「ん――」

起こしてしまったようだ。

「天仁・・さん?」

眠そうな目を擦りながらこちらを見てきた。

俺は彼女の可愛らしい姿を見ながら窓に向かって歩き出しカーテンを開ける。眩しい光が部屋に入り、先程まで薄暗かった部屋に朝を告げている。


 明るい部屋になり彼女の姿もはっきり見る事が出来るが、床まで伸びた長い金色の髪と薄い水色の瞳が一際美しく見える。

その姿を見ながら俺は考えていた事を口に出した。


「なぁ、もしかして()を使ったのか?」

その問いに彼女は椅子から立ち上がりながら答えた。

「ん―だって――」

無言で彼女が近づいてくる。それもゆっくりとだ。そして、俺の目の前まで来た。

「返事が直ぐに返ってこないし、30秒も待ってたのに――返事が来ないから私が居なくても良いんだって、天仁さんに嫌われたのかと思って、そう考えたら急に怖くなって天仁さんに会いたい、天仁さんの顔が見たいってなったの」

少し早口で口調がどんどん強くなっている。


(やばい、スイッチが入る前に落ち着かせなくては)

天仁は彼女が言い終わると同時に平静を装って少し低い声で聞いた。

「それで?」

その言葉で少し彼女は怯んだ様に高揚していた気持ちを落ち着かせた。

今から出てくるであろう彼女の言葉は何となく俺はわかっていた。

「だから――そんな考えになったから―そうしたら他に女がいるんじゃないかと思い始めてね―――」

彼女は俯いたまま、申し訳なさそうに答えた。

「それで待ち伏せして俺を刺したの?」

彼女は何も言わず少し間を開けて頷く。


 無言が続き時間が少し止まったかのように長く感じたが時間を動かし始めたのは彼女からだった。

「でも――直ぐに()()()()()()痛くナイでしょう?」

それが当たり前のような抑揚が無い言い方。

(―っ!。しまった遅かったスイッチ入ってしまった。)

雰囲気を変えるしかないと思った俺は間髪入れず答える。

「痛いよ!死ぬかと思う程痛かったよ!なんなら死んだよ!いや、死んでたよね?」

と必死なツッコミを入れてみたものの俺はもっと早く落ち着かせる事に集中すればよかったと後悔する。


彼女は表情が無いまま言う――

「イタかったの?ワタシが愛をこメテ刺しタノだから痛いワケないヨね?」

俺の顔を下から覗き込みながら上目使いで笑顔に見えるが目が笑っていない彼女がいる。

「天仁サン―死んジャッテもワタシの力でスグニ治すから問題ナイよネ?」


(なんでこんな彼女と付き合う事に―――)

俺はそう思いながら不敵な笑みを浮かべる彼女を見る。

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