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ローゼリカは悩んでいた。

そんなローゼリカを見てマリオンが話しかけた。

「どうしたんだ、ローゼリカ?難しい顔してる。まぁ、どうしたもこうしたもないか。ナナリー嬢と兄上のことだろう?」



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それは4人で話をした翌日のこと。

ナナリーが怪我をしていたようなので、ローゼリカが心配して声をかけたのだが、ナナリーは怯えた様子を見せ俯いてしまった。

どうしたものかと思っていると、リュシアールがやって来て、ナナリーを引き寄せローゼリカから離しすごい剣幕で言った。

「ローゼリカ!ナナリーになにをしてるんだ!」

ローゼリカはいきなりリュシアールに怒鳴られ驚き戸惑い声が出なかった。

「兄上、いきなりどうしたのです。ローゼリカはナナリー嬢に声をかけていただけですよ?それを割って入ってきて怒鳴るなんて!」

マリオンがローゼリカをかばうように言うと、いくらか落ち着いたローゼリカも口を開いた。

「リュシアール様、ごきげんよう。ナナリーが怪我をしているようでしたのでどうしたのかと心配して声をかけていただけですわ。」

「どうしたかだと?白々しいなローゼリカ。聞かなくてもわかっているだろう。」

「リュシアール様、なんのことですの?なにをおっしゃっているのかわかりませんわ。」

ローゼリカはなにがなんだかわからない。

そんな様子を見たリュシアールがさらに激高し声を荒げようとしたときナナリーがリュシアールにすがりながら言った。

「リュシー様!落ち着いてください!いいのです、今は、ね?行きましょう、リュシー様。」

「………わかった、すまなかったナナリー。教室まで送ろう。教室ではキースが同じクラスだろう、一緒にいるようにしてくれ。」

リュシアールは腑に落ちない様子ではあるものの、ナナリーの言葉に従い、その場を去ろうとした。

「待ってください、兄上。ローゼリカに謝ってください。」

「なぜだ?」

「なぜって、兄上…。いきなり理由もなくローゼリカを怒鳴りつけておいて!」

「それは、ローゼリカが!!「リュシー様!駄目です、謝りましょう?ローゼリカ様すみませんでした。ほら、リュシー様も。」

「…すまない。」

リュシアールは渋々という様子であるし、なぜナナリーが謝るのかとローゼリカは思ったが、

周りに生徒が増えてきてしまっており、この場はここで済ませようと謝罪を受け入れた。



そんなこともあり、さらにその後、ナナリーや生徒会の4人は距離を置くどころか、以前にも増して一緒に過ごすようになっており、

結果、学園ではナナリーと生徒会4人の悪い噂がさらに広まっていく始末であった。


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「そうなの、ナナリーとリュシアール様の様子がおかしいでしょう?それに噂も広まって…。あれから話をしようにも、まったく聞く耳持たないといったようで。どうしたものかと…。自分の力で解決しようにも理由がさっぱりわからないのですもの。一応、ナナリーやリュシアール様、それに生徒会の3人を調べてもらったので、その報告書を読んでいたのだけれど…」


「なにか気になることでも書いてあったのか?」


「それが、なにやら我が家のミュンバル公爵家やお父様のこと、それと前代聖女ソフィーナ様のことを調べているみたいなのよ。なにが目的なのかはわからなくて、いったいどういうおつもりなのかしら…。もし、リュシアール様が婚約を解消なさりたいなら、わたくしに一言言ってくださればいいのですけれど、話すら出来ないのでは…。」


「なにかコソコソしてると思ったらそんなことしていたのか…。本当に兄上はなにを考えてるんだ。すまない、ローゼリカ、俺がなにか力になれればよかったんだが、兄上は俺とも話をしようとしないんだ。」


「マリオンが気に病むことじゃないわ、それに、マリオンはいつも側にいてくれるじゃない、それだけで心強いわ。ありがとう。」


リュシアールやナナリーが離れていってしまってからも、ローゼリカの周りには他の生徒たちもいてくれた。

それでも、昔から変わらずローゼリカの側にいてくれるマリオンと一緒にいる時間がなにより幸せなものになっていたが、ローゼリカはその気持ちにはまだまだ気付かない。

それに、ローゼリカにはやらなければいけないことがある。

ナナリーとリュシアールの現状をどうにかしなければローゼリカは先へは進めない。





そうして、ローゼリカが悩んでいた一方、

ナナリーとリュシアール、フランツ、ヴィルム、キースはローゼリカを断罪するべく最終の段階に入っていた。

―この断罪イベントが終われば、ついにリュシーと結ばれるのね!あぁ、楽しみだわ!

―ローゼリカ、小さい頃から婚約者として愛し子として隣にいた。でもそれも終わりだ。僕は愛しいナナリーと一緒にこの国を君の悪の手から守って見せる!





―――ハハハ!ついに人形劇はクライマックスだね!さぁ、醜い醜い最終章のハジマリダ♪

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