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『ナナリーったらとってもかわいいのよ、貴族としてはたどたどしいところもあるのだけれどまだ1年でしょう?それでいて聖女のお仕事もしているんだもの、とっても頑張り屋さんで、わたくしナナリーのこと大好きになってしまったわ!「ローゼリカ様がそうやって褒めてくださるから私も頑張れるんです」ってナナリーも言ってくれたのよ、仲良くなれて本当に嬉しいわ!』
≪だから言ったでしょう、愛し子と聖女は仲良くなれるって。ローゼは入学してから毎日楽しそうね、私も嬉しいわ。≫
『そうね、ナナリーだけじゃないわ、学園ではほかの方々とも仲良くさせていただいてるわ。それにマリオンだって側にいてくれるし、リュシアール様も生徒会で忙しい合間をぬって、お茶やランチをご一緒してくださるわ。だから毎日とても楽しくて幸せよ。王太子妃になれば公務だって始まるから今のように毎日楽しくとはいかないわ、だからこそ今を精一杯楽しみたいのよ。』
≪ローゼが幸せであることがこの国の幸せに繋がるのよ。王太子妃が嫌ならならなくてもいいのよ。≫
『王太子妃になるのが嫌なわけではないわ、もちろん王妃教育は大変だったし、きっと公務も楽しいことばかりではないわ。大変で辛いこともあるかもしれない、けれどそれは幸せじゃないこととは同一ではないわ。わたくしはこの国がこの国の人たちが大好きよ。だからこの国をもっともっと素敵な国にしたいの!』
≪わたしの愛しいローゼ、本当に良い子に育ってくれたね。ローゼがそう言うなら私は見守るわ。≫
『アモルナ、あなたはいつでも誰よりも私の側にいて見守ってくれてるわ。だからわたくしは安心して前を向いて進んでいけるの。いつもありがとう、これからもよろしくね。』
≪えぇ、わたしはいつだってローゼのことを見守ってるわ。私の愛し子、ローゼリカ。≫
アモルナはローゼリカが生まれた頃からずっと見守ってくれていた。
アモルナは七色に光る銀髪に金色の瞳をした美しい女神だ。
そんなアモルナの姿を見れるのも、対話できるのも今は愛し子であるローゼリカのみ。
ローゼリカにとって、アモルナは神というよりはもう一人の母のようなそんな存在なのだ。
学園に入学して3か月、ローゼリカは毎日幸せそうに笑顔でアモルナにその日あったことを話すのだ。
そんなローゼリカをアモルナは愛しく思っている。
アモルナが願うのは、【ローゼリカの幸せ】それだけなのである。
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「神?聖女?…もしかしてこれってよくある異世界転生とかってやつなのかしら?私が知ってるゲームや小説の世界ではないみたいだけど。でも、私が知らないだけなのかも、それに聖女?ってことならヒロインってことにならないかしら!?せっかくこんなかわいい顔に生まれて聖女ってやつなら王子と結婚とかできちゃうかも?ウフフ!」
ここからお話が動いていく予定です。