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そんな王に、リュシアールは一瞬ひるんだが、その言葉を待っていたかのように続けた。

「いいえ、陛下。ローゼリカの罪はそれだけではありません。まず、証言者ですが…アモルナ様です!アモルナ様がナナリーにおっしゃったのです、突き落としたのはローゼリカだと!!!」

アモルナという言葉を聞きローゼリカは驚き、言った。

「アモルナはそんなこと言うわけないわ!アモルナを騙らないで!!!」

「アモルナ様を騙るなだと?それは貴様のことだろう、ローゼリカ!」

「どういうことですの?」

「陛下も、皆も聞いてくれ!ローゼリカは愛し子ではない!本来の愛し子はここにいるナナリー・メイナー子爵令嬢なんだ!ミュンバル公爵家は前代聖女ソフィーナを脅し、ローゼリカが愛し子だと偽った!そうだろう、ナナリー?」

それまでずっと俯いていたナナリーはローゼリカを見ると怯えた様子を見せ、それでも決意を秘めた目で言った。

「はい、ある日、神様から話しかけられました。本当の愛し子は私だって。ローゼリカ様はミュンバル公爵家が仕立てた偽の愛し子だと。そして、ローゼリカ様がいつも話されているのは………あ、悪魔だと!!!!悪魔はアモルナ様を害し、これまで封じこめられていたけれど、私の祈りが届き力が戻りつつある。ローゼリカ様と悪魔にこのままでは国が乗っ取られてしまうと!私が階段から突き落とされたときもローゼリカ様がやったと神様が言ったんです!」

会場にいる人々は困惑していた。突拍子のない話である。そして困惑の中、リュシアールが言った。

「証拠もある!ミュンバル公爵から前代聖女ソフィーナに宛てた愛し子を偽装するよう指示する手紙だ!とある使用人が隠し持っていたのを見つけたのだ!」


「リュシアール、ローゼリカは紛れもない愛し子だ、そのような偽の手紙どこから手に入れたのか知らぬがくだらない話に惑わされおって!聖女ナナリーも、聖女の立場で愛し子を害そうなどどういうつもりだ?聖女が愛し子に成り変われるとでも夢を見たのか?」

王は厳しい態度を崩さない、そして在校生や卒業生などの若い者たちはいまだ困惑しているようだったが、在校生の親世代の貴族たちも陛下の言葉に納得しているようだった。

だがしかし、リュシアールたちは納得しない。

「そんなの嘘よ!だって私、神様とお話しできるもの!神様とお話しできるのが愛し子でしょう!?その神様は私が愛し子だというのよ!!そうよ、王様は悪魔に騙されてるんだわ!ローゼリカがいなくなればきっとわかるわ!!!リュシー様、フランツ、ヴィル、キース!!!」

そうしてナナリーが声を上げると、リュシアールが自身の護衛騎士として帯刀させていたフランツに命令した。

「フランツ、ローゼリカを殺せ!ローゼリカが死ねば悪魔の力も弱ると言っていた、そうすれば陛下たちも目を覚ますはずだ!」

フランツはローゼリカを殺そうとするも、マリオンがその剣を自身の剣で受け止める。

「兄上!なにを言っているのですか!!!!もうお止めください!」

だがしかし、リュシアールは耳を貸さず、ローゼリカを睨みつけている。

会場は騒然となった。



≪ローゼ、私に任せてほしいの≫

『アモルナ…わたくしの力ではどうにもできないの?わたくしは無力だわ。』

≪ローゼ、心配させたくなくて言っていなかったけれど、多分ナナリーやリュシアールは正気ではないの。なにか得体の知れない力を感じるわ。あなたはよく頑張ったわ。でもね、私の名を騙り、ローゼを害そうとした。あなたが望むから見守っていたけど、ここからは私にやらせてちょうだい。必ずナナリーとリュシアールを元に戻してみせるわ。≫

『わかったわ、お願いアモルナ。ナナリーもリュシアール様も変わってしまったわ、それでも私はあの二人が大好きよ。もし、何かに操られているのだとしたら解放してあげて!』

≪えぇ、もちろんよ、愛しいローゼ、それがあなたの望みなら≫



「ローゼリカの瞳が金色に!悪魔と話しているぞ、なにかしでかすつもりかもしれない!止めろ!!!」

リュシアールがそう叫んだ瞬間、辺りが光に包まれた。

そうして、光が収まると声が会場に響いた。


「静まりなさい」


声を発したのはローゼリカだった。

でもその瞳は金色のまま、そしてなにより髪の色は七色に光る銀髪だった。

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