02 転生するっぽい
気が付くと私は雲の上にいた。
「ん?雲の上?ってうわぁなんだこれ!?」
必死に状況を整理する。確か帰宅途中で居眠り運転の車に轢かれたはず
1.これは夢
2.病院で手術中とかによくあるらしい幽体離脱とか
3.死んで天国
う~ん、とりあえず足とか透けてないから幽霊ではないのかな?
そんなことを考えていると上から女の人がゆっくり降りてきた。
「こんにちは~。中山さんお待たせしました~」
「こ、こんにちは?」
「はい。こんにちは~。ここがどこかわかる?」
「え~っと...」
頭の整理が追い付かない。夢?夢なのか?
「ごめんね~説明するわね」
目の前の彼女による説明によると、今ここは世界の狭間と呼ばれる場所で死んだ魂を集め、新しい器に移す場所だそうだ。
どうやら死んでいたらしい。
「でね、本来春香ちゃんはあそこで死ぬはずではなかったのだけれど、うちの夫が寝不足で誤ってあの場所に時空のゆがみを発生させてしまったの」
ここでも寝不足か
「本当にごめんなさいね」
「いえ、状況は何となく理解しました。それで私はどうなるのでしょうか?え~っと..」
「あぁごめんなさい。私はリリエル。一応神様やっているわ。それでこれからなのだけど転生してもらうことになります」
「ただ今回は私たちの過失なので、希望があればできるだけ聞いてやるように言われているのよ」
なるほど、希望通りに生まれ変われるわけか。
「ちなみにどんなことまで聞いてもらえるのですか?」
「そうね、例えばお金持ちの子供とか、魔力が多いとか」
ん?魔力?
「えっと、魔力ですか?地球の日本で生まれ変わるのではないのですか?」
「あぁごめんなさい。言い忘れていました。ここのルールとして別の世界に転生する決まりなのよ」
なんだそりゃ、詳しく聞いたところ今回転生する世界は魔法あり、魔物ありの世界らしい。
異世界転生ものってホントにあるんだ。ちょっとワクワクしてきた。
ただ魔物がいるのはちょっと怖い。
「魔物って危険じゃないんですか?」
「ちょっと待ってね、えぇーっとこの世界の魔物はそこまで危険ではないようね。一応冒険者っていう職業もあって余程の魔物じゃない限り大体は安全なようね」
それを聞いてちょっと安心した。ん~せっかく魔法があるなら使いたいけど戦闘はしたくないな。
出来ればお金のある家に生まれて働きたくもないな。
「決めました。ある程度お金のある家に生まれたいです。のちにあまり働きたくないので、あ、長女とか荷が重そうなので三女あたりがいいです」
「わかったわ。お金のある家の三女あたりに転生していただくわ。魔法もある世界だけどそこらへんはどうする?」
「ある程度の魔物が倒せる魔法と魔力があればいいです」
「あら、欲がないのね?」
「働きたくないので」
こういうパターンはラノベで読んだからわかる。あまりにもすごい魔法が使えると引っ張りだこになって休めないんだ。
次の世界では特に目立つことなくある程度の魔法が使えれば満足だ。
「はい。準備は完了よ。ちなみに5年に1回これから行く世界に干渉できるからその時ごとに連絡してもいいかしら」
「構いませんよ」
「ありがとう。次は夫から謝罪してもらうから楽しみに待っててね」
「あぁ、ちなみに旦那さんは今どこにいるんですか?」
「今は始末書を書いているわ」
神様でも上下関係はあるらしい。
「それじゃ、行ってらっしゃい。よい人生を」
体が光に包まれたところで私の意識は途切れた。