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ボッチな俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ  作者: サンボン
第三章 アイツとギャルの居場所は一つ
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ギャルと黒髪ショートボブ④

ご覧いただき、ありがとうございます!

「アハ……アンタ、カワイソウだし」


 それまであんなに激怒していたしゆのさんは、気づけば神森陽菜を憐れむような、そんな視線を向けていた。


「カワイソウ? 私が?」


 しゆのさんの言葉が、その憐憫の眼差しが気に入らないのか、神森陽菜は憎々し気にしゆのさんを睨む。


「そうだし。だって、アンタはホントの塔也を知らないし」

「本当の? 知っていますよ! あなた以上に! 私はこの五年間、誰よりも塔也センパイを見つめ続けてきたんだ! ほんの数か月程度の付き合いでしかないギャルのアンタが、知ったような口をきくな!」


 神森陽菜が(せき)を切ったように叫んだ。

 それこそ、しゆのさんという存在を全否定するかのように。そして、自分の存在を全肯定したいがために。


「あは……じゃあアンタのその五年間、全て無駄だったし」

「っ! フザケルナ! 何も知らないくせに……塔也センパイのこと、何も分からないくせに!」


 とうとうこれまでの自分の想いすら否定されてしまった神森陽菜は、つかみ掛かる程の勢いでしゆのさんに詰め寄る。


 だけど。


「じゃあ言ってやるし。アンタは塔也が『壊れてた』って言ってたけど、塔也は最初から壊れてないし。神谷駅のポチ像前で塔也と出逢った、あの日から」

「……何ですか、それ」

「あは……塔也はね? 誰も信じてもらえない、誰も話を聞いてくれない、誰も認めてくれない……そんな最低でつらい状況なのに、塔也は神待ちなんてしてたアタシを放っとけなくて、精一杯のお節介を焼くような、そんな素敵な男の子なんだし」

「……それと、私が“カワイソウ”なのと、何の関係が……」

「それから、アタシは塔也に色んな話を聞いて、塔也に触れて、塔也を感じて分かった。塔也は何にも諦めてなかった。そんな絶望的な状況にいるのに、塔也はそこから抜け出そうと、必死でもがいてたんだ」

「…………………………」

「……そんな強くて優しくて、最高に素敵な塔也を五年間も見続けてきたのに、全然塔也のことに気づけないまま無駄に五年間を過ごしてきた……そんなアンタだから、アタシはカワイソウって言ったんだし」


 そう語ると、しゆのさんは優しい瞳で神森陽菜を見つめる。


「……ま、塔也に目を付けたって点に関しては、見どころはあるかもだけど」

「うう……」


 しゆのさんが肩を竦めておどけながらそう言うと、神森陽菜は肩を震わせて俯く。


 そして。


「ふ、ふざけないでよ! 何アンタ! 塔也センパイの奥さん気取り? まるで私じゃ相手にならないとでも言うみたいな態度で! アンタなんかただ無駄に可愛いだけのギャルビ〇チのくせに!」

「あは、そうだし。アタシは可愛い……かどうかは置いといて、ただのギャルだし。でも」


 そう言うと、しゆのさんがそっと俺を見つめ。


「塔也への想いだけは、世界中の誰にも負けない」


 自分の胸に手を当て、力強く告げた。


 俺は、そんなしゆのさんが眩しくて、そんなしゆのさんが愛しくて……。


「あは……塔也……」


 気づけば、しゆのさんを抱き締めていた。


「……神森さん、君はしゆのさんのことを“ただのギャル”だって言うけど、ほんの少しだけ違うよ。しゆのさんは“ただの、最高のギャル”、だよ。俺を世界で一番幸せにしてくれる、誰にも代わることができない、かけがえのない人なんだ」


 俺はしゆのさんを見つめ、ニコリ、と微笑むと。


「ん……」


 しゆのさんも俺に微笑み返し、頷いてくれた。


「あああああ! ただ単に、弱ってた塔也センパイにつけ込んで、かっさらって行った泥棒猫ってだけじゃない! なのに! なのに!」


 神森陽菜は頭を掻きむしりながら、その場で地団駄(じだんだ)を踏む。

 その姿は、なんだか滑稽で、もの悲しくて……。


「あは、そうかもね……アタシは世界一幸運だった。それだけは、間違いなく言えるし」

「それを言ったら、俺のほうが世界一ツイていたよ。あの日、君に出逢えたから俺は救われたんだ。幸せになれたんだ」

「あは! 絶対アタシのほうが幸せになれたし!」

「俺だ!」

「アタシだし!」


 気づけば、俺達は神森陽菜そっちのけで言い争いを始めていた。

 どっちが幸せかだなんて、そんな理由で。


 そして。


「ぷ」

「ぷぷ」

「「あははははははははははは!」」


 俺としゆのさんは大声で笑った。


「あはは! こんなの、塔也とムキになって言い争う話じゃないし!」

「はは! 確かに! だって……」

「「俺達(アタシ達)、二人とも世界一幸せなんだから!」」


 だから。


「アンタがアタシのこと気に入らないならそれでいい。アタシはアンタがどう思おうが、塔也のことをどう想っていようが、知ったことじゃない。アタシはアンタのこと関係なく、ただ塔也ともっともっと幸せになるだけだし」

「そうだな……俺も、しゆのさんだけしか見えないし、周りなんて関係なく一緒に幸せになるだけだ」

「あは! うん!」


 俺としゆのさんは恋人つなぎをすると、ただ無言で唇を噛み締めながら打ち震える神森陽菜を無視し、体育館裏から去って行った。

お読みいただき、ありがとうございました!


次回、いよいよ最終回!

明日の夜に更新します!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 完全勝利ww もうメンヘラちゃんが入れるスペースなんて無かったんや……(泣) そしてイチャイチャ見せつけますねぇ! 画面の向こうの私にまでダメージが……!www 最終話も楽しみです!!…
[一言] 最終回ですか。 綺麗な終わりがあるから良作なのかもしれないですね。 けど寂しい(T ^ T) でもフィニッシュ楽しみにしてます! さて今日の仕事終わりが楽しみだ…笑
[一言] これを読むことができてうれしいです。良い仕事を続けてください。大好きです 。あなたの話は活気に満ちていて、私が読むのをやめないようにします。私は読んだすべてのページが大好きになります。
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