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ボッチな俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ  作者: サンボン
第三章 アイツとギャルの居場所は一つ
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決別に向けて

ご覧いただき、ありがとうございます!

「すいません! 遅くなりました!」


 後藤くんと別れた俺は大急ぎでバイトに向かうと、事務所に入るなり頭を下げた。


「おう! つーか、元々遅れるって連絡してんだから、いちいち謝らんでもいいぞ!」

「すいません……とにかく、すぐ支度します!」

「ハハハ! おう!」


 更衣室で作業着に着替えて倉庫に入る。


 とりあえず、和也についてはあれだけ言っておいたから、さすがにこれ以上手出ししてくるようなことはないと思うが……。


「“神森陽菜”、か……」


 和也の口からでた二年女子の名前。

 その子が俺やしゆのさんのバイト先を和也に教えたりするだけじゃなく、まさかストーカー行為を助長させていたなんて……。


 それだけじゃない。

 その子は、喫茶店の前で窓掃除をしていた俺の前に姿を現した。


 つまり。


「その子もストーカー行為をしてる、ってことか?」


 だが、なんでそんなことをする必要がある?

 俺やしゆのさんにつきまとって、一体何のメリットがあるっていうんだ?


 ……って、そんなことを考えていても、俺一人の頭じゃ答えなんか出ないか。


「うん……このことは、バイトが終わった後にでもしゆのさんに話をしよう。だけど……絶対怒るよなあ……」


 あれ程一緒に和也と話をしようって言ってたのに、しゆのさんに内緒で勝手に和也と話をつけちゃったからなあ……。

 うう……そこは覚悟するしかない……。


 ま、まあ、これ以上あれこれ考えていても仕方ない。

 集中して作業しないと。


「さあ、やるか!」


 俺は気合いを入れるために両頬を叩くと、いつものように作業にいそしんだ。


 ◇


「ふう……」


 とりあえず今日の分の作業が終わり、俺は一息吐く。

 後は、トラックが来るまで待っているだけだ。


 ——ジリリリリ。


「ん? 電話?」


 俺はスマホを取り出してみると……あれ? しゆのさんのお父さん?


「もしもし」

『もしもし、塔也くん。今ちょっといいかな?』

「はあ、ちょうど休憩中でしたので……」


 一体何の用だろう……?


『実は、君のご実家から、例のストーカーの件で会って話がしたいと言ってきたよ』

「っ! ほ、本当ですか!」

『うん。どうやら示談にして、被害届を取り下げて欲しいみたいだね』


 うん……うちの親なら当然そうするだろうな。

 なにせ、あんなに可愛がっていた和也のことだし、それに、世間体をやたらと気にするような親だから。


『それで、ここからは相談なんだけど……塔也くん、もしよかったら、君も同席しないか?』

「ええ!? お、俺がですか!?」


 お父さんの相談というのは意外なものだった。

 まさか和也のストーカーについての示談交渉の場に、俺がしゆのさん側としての参加を求められるなんて。


『うん……僕は今回の話し合いで、君のことについても話をしたいと思っている。というか、被害届を出すと決めた時点でこうなることは予想していたから、そうしようとは思っていたんだけどね』

「は、はあ……ですが、俺なんかが一緒にいていいんでしょうか……」


 俺はおずおずとお父さんに尋ねる。

 だって、これはしゆのさんと和也の話だから、はっきりと言ってしまえば俺は部外者でしかない。

 それに、俺がしゆのさん側にいることで、それがしゆのさんにとって不利になることも……。


『もちろんだよ。それに……君がいればしゆのちゃんもどれ程心強いか』

「え!? ちょ、ちょっと待ってください! しゆのさんも示談の場に同席するんですか!?」


 お父さんの言葉に、俺は思わず声を上げた。

 だ、だって、しゆのさんは言わば被害者で、なのに加害者側とあったりしたら……!


『それが……しゆのちゃんが会うって聞かないんだ。『ずっと塔也を苦しめてきた親に、文句言ってやらないと気が済まないし』……だって』


 そう言うと、お父さんが苦笑する。

 い、いや、そう言ってくれるのは嬉しいが、それとこれとは別で……。


『そういうことだから、しゆのちゃんを支えるって意味でも、ぜひ塔也くんにお願いしたいんだ』

「はあ……」

『どうだろうか?』


 おずおずと尋ねるお父さん。

 だけど、こんなの答えは一つしかない。


「はい……どうかよろしくお願いします」

『ありがとう!』


 お父さんが嬉しそうにお礼を言うが、お礼を言うべきなのは、本当は俺のほうだ。

 だって、しゆのさんが俺のために怒ってくれて、お父さんが俺のために色々と考えてくれて……。


『ははは、それじゃ今度の日曜日、アパートまで車で迎えに……そうだ! せっかくだから、土曜日からうちに泊まればいいよ!』

「あ、は、はい。そうします」

『うんうん。それじゃ、よろしく』

「はい、ありがとうございました」


 俺はスマホの通話終了のボタンをタップする。


「今度の日曜日、か……」


 そういえば、親と会うのもほぼ二年振り、か……。


 正月も夏休みも、一度も家に帰ったことがなかったからな。

 まあ向こうからも、俺のところに一切連絡がなかったが。


 だけど……これだけは言える。

 俺は、しゆのさんのためなら、何だってできる。


 ——たとえ、それが肉親と完全に決別することになっても。

お読みいただき、ありがとうございました!


次回は今日の夜更新!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] まあ、それで縁が切れるなら、逆に願ったりかなったりですね。さて、話し合いどうなりますことか。まだ後に一戦控えているようだから、余力は残して/w
[一言] 示談なんて言ってるけど、どうせ「お前が見てたら和也はこんなことしなかった!」みたいな、逆ギレ・責任転嫁のハッピーセットで塔也くんに詰め寄ったら簡単に被害届を取り下げてくれるなんて思ってるので…
[気になる点] まあ相手が肉親だからと気負ってるんだろうけど、そこまで考えたり、気を使う必要の無い相手だから有象無象の障害をさくっと壊す感じでいっちゃってもOKかと。精々気を遣うとしたら今まで世話にな…
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