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ボッチな俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ  作者: サンボン
第三章 アイツとギャルの居場所は一つ
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アイツの胸に

ご覧いただき、ありがとうございます!

■萩月しゆの視点


「いらっしゃ……あは! 塔也!」


 夜になり、いつものように塔也がアタシを迎えに来た。

 ていうか、もうそんな時間だし。


「あー! 池田くん、ちゃんと弟を(しつ)けといてよ!」

「あ、コラ! 瑞希は余計なこと言うなし!」


 塔也を指差して叫ぶ瑞希に、アタシは慌ててそれを遮る……ことができなかった。


「しゆのさん……それ本当?」

「……うん」


 心配そうに見つめる塔也に、アタシは思わず俯いた。

 あう……塔也に余計な心配させたくなかったのに……。


「あ、マ、マスター……うちの弟がご迷惑をおかけしてすいませんでした……」

「ああいや、うちはいいんだけど……それより、困ったことがあるんだったら、いつでも私達に相談してくれ」

「あ、ありがとうございます……」


 そう言うと、塔也はマスターに深々と頭を下げた。

 ホント、あの弟め……!


「あ、あは! それじゃアタシは帰る準備してくるし!」

「あ、ああ、うん……」


 アタシは慌ててバックヤードに駆け込み、エプロンを外してカバンを手に取り、またお店のフロアに戻った。


「お、お待たせ!」

「ああうん……それじゃマスター、お疲れ様でした」

「うん、お疲れ様」


 二人に挨拶をして私達はお店を出ると。


「しゆのさん……大丈夫、だった……?」


 開口一番、塔也がすごく心配そうに尋ねてきた。


「あ、あは! 全然大丈夫だし! ていうか、あんな弟なんか、問題じゃないし!」


 アタシは塔也に心配かけまいと、わざと大きな声で明るく振舞った。


 でも。


「しゆのさん……嘘、だよね……?」

「あ……」


 やっぱり……塔也にはバレバレだった。


 ホントは、あの弟のことがちょっと怖かった。

 だって、どうやって突き止めたか知らないけど、アタシのバイト先に押し掛けて、あんなキモチワルイ視線を向けてきて……。


 今日は瑞希やマスター、他のお客さんが守ってくれたけど、これからもこんなことがあるかと思うと……っ!?


「しゆのさん……ごめん……」


 すると、塔也がアタシを抱き締めて謝った。


「あ、あは……塔也、何にも悪くないじゃん。そ、それに、お店にはマスターや瑞希もいる、し……」

「それでも! ……それでも、しゆのさんにほんのちょっとでもそんな思いをさせたんだ。これは……俺の責任だよ」

「ち、違うし! 塔也のせいなんかじゃないし!」

 

 塔也がつらそうに謝るのを見て、アタシは大声で否定した。

 だって、こんな下らないことで塔也にそんな思いして欲しくないから。


「……俺、アイツと話をするよ」

「塔也……?」

「もうこれ以上、黙っていられない。俺だけなら無視するだけで良かったが、しゆのさんにまでこんなことするなら話は別だ」


 そう言うと、塔也はキュ、と抱き締める力を強める。

 そしてその瞳は、決意に満ちていた。


「と、塔也……アタシ、塔也に何かあったらやだよ……? あんな弟のせいで、もし塔也が傷ついたりでもしたら、アタシ……アタシ……!」

「はは、大丈夫だよ。和也ごときに、俺が負ける筈がない。だって」


 塔也はそこで一拍置くと、アタシの瞳をジッと見つめた。


「だって、俺にはしゆのさんがいるから」

「うん……」


 塔也がそう答えるっていうことは最初から分かってた。

 だって……塔也にはアタシが全てなんだし。


 だけど。


「ねえ、塔也……弟と話をする時は、アタシも一緒に行くし」

「え!? い、いや、しゆのさんは来ないほうが……「行くし!」」


 アタシの申し出に躊躇した塔也に、もう一度宣言した。

 ていうか、そんなの当たり前だし。


「塔也がアタシのこと大切に想ってそう言ってくれてることは分かってる……でも、アタシだって! ……アタシだって、塔也のことが世界中の誰よりも、大切なんだし……」


 そう……アタシにとっても、塔也こそが全てなんだから。


「しゆのさん……」

「だから……アタシも塔也と一緒に……ね?」


 すると塔也は、軽く溜息を吐いたかと思うと。


「……絶対に和也の奴の傍には近づかないこと。いざという時は、必ず俺の背中に隠れること。これだけは守ってくれるなら」


 渋々といった様子で、アタシの申し出を了承してくれた。


「あは! 絶対に約束するし!」

「うん……じゃあ、一緒にアイツと話をしよう。その前に、今日はしゆのさんの家に行ってもいいかな?」

「? アタシの家?」

「ああ。いざって時のために、できる限り手は打っておいたほうがいいから」


 そう言うと、塔也は口の端を持ち上げた。

 そんな塔也が、アタシにはすごく頼もしく見えて……。


「しゆのさん?」

「あは……やっぱり塔也は世界一カッコイイし!」

「はは……なんだか照れるな……」


 苦笑する塔也の胸に、アタシは頬ずりする。


 アタシは……世界一幸せな女の子だし!

お読みいただき、ありがとうございました!


次回は今日の夜更新!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] しゆのさんの両親が兄にトヤを認めたことを明かしておくのが一番です。 ですから、両親がすでに大丈夫であるかのように、彼はそれ以上何も言うことができません。 そもそも、トヤが悪者だと納得させるこ…
[一言] 人の話に耳を傾けない、ましてや兄を下に見ている人間とまともな会話なんて成立しないと思うので、打てる手は打っておいた方がいいですね。
[一言] さあ、いよいよ決着つけるのかな。 話して聞くようなタマではないだろうから、打っておく手、がどれだけ効くか、かなあ。
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