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ボッチな俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ  作者: サンボン
第三章 アイツとギャルの居場所は一つ
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アイツの弟がやって来て

ご覧いただき、ありがとうございます!

■萩月しゆの視点


「んふふー♪」

「お、しゆのちゃんご機嫌だね」

「あは! そうですか?」


 お客さんにそんな風に声を掛けられ、思わず尋ねる。

 ア、アタシ、そんなに機嫌よかったかな……。


「うんうん、何というか嬉しくて仕方ないって感じがするよ」


 そう言うと、お客さんがうんうん、と頷いた。

 そっかー……でも、それもしょうがないよね。


 だって塔也ったら、学校の廊下で……ねえ。


「あ、あは! ごゆっくり!」


 アタシは急に恥ずかしくなり、慌ててカウンターの中に入った。


「ハハハ、相変わらず塔也くんとは仲が良いみたいだねえ」

「や、やだなマスター……」


 あう、マスターには図星だったみたい。


「ハイハイ、良かったねー。そりゃあ大好きな彼氏にハグなんてしてもらったら、浮かれるのもムリないよねー」


 瑞希がジト目でアタシ睨んだかと思うと、悔しそうにプイ、と顔を背けた。


 ていうか。


「……ひょっとしてアンタ……見た?」

「……まあ? 廊下であんな堂々と? 池田くんとハグ? なんかしてたら?」


 ああー……メッチャ拗ねてる。


「ていうか、アンタもサッサと彼氏作ればいいじゃん」

「あああああ! もおおおお! ちょっと自分が学校一可愛くて、オマケに素敵な彼氏がいるからってえええええ!」


 そう叫ぶと、瑞希はわしわしと頭を掻きむしった。


 でも。


「あ、あは……塔也が素敵な彼氏って……その……よく分かってんじゃん……」


 アタシは瑞希の言葉に気を良くし、つい照れてしまった。


「くううううううううう!」

「ああ……瑞希、お願いだからパパにそんな残念な姿を見せないでくれ……」


 涙を流しながらトレイをガシガシと噛む瑞希に、マスターが憐憫のまなざしを向ける。


「あ、あは……」


 アタシはなんてコメントしていいか分からず、思わず苦笑していると。


 ——カラン。


「いらっしゃ……っ!?」


 入ってきたのは、塔也の弟だった。

 ていうか、なんでこの喫茶店にまで!?


 ……やっぱり、例の『クラスの女の子』が教えたの?


 アタシがその弟を睨みつけ、追い返そうと入口に向かおうとする……んだけど、どういう訳か、アタシの脚が、身体が動かない。

 な、なんで……!?


「あ、こ、こちらへどうぞ」


 すると、アタシの雰囲気を察して気を遣った瑞希が、弟を席へと案内してくれた。

 なんで……アタシはホッとしてるの?


「ええと、ご注文は……」

「ああいや、できればしゆのさんに接客して欲しいかな?」

 

 そう言って、弟はこちらに向かってにこやかに微笑む。


「は? ていうか勝手にアタシの名前を呼ぶなし!」


 他にもお客さんがいるにもかかわらず、アタシは思わず叫んでしまった。

 こうやって無理やりにでも叫ばないと、アタシは……。


「えー、そんな冷たいこと言わないでくだ「すいません、お客じゃないんだったら帰ってくれます?」」


 なおも軽口を叩こうとする弟に、瑞希が睨みつけた。

 ていうか瑞希……怒ってる?


「は? 一応僕も客なんだけど? その態度ってなくない?」

「当店では、人を不快にさせる方をお客様と認定しておりません」


 うわ……何というか、瑞希の奴、辛辣だなあ……。


「……いや、アンタのほうこそ不愉快なんだけど?」

「はは、うちの従業員目的でわざわざやって来るあなたのほうが、余程不愉快……いえ、キモチワルイですけど?」


 瑞希も弟もお互い譲らず、睨み合いを続ける。

 や、やっぱりアタシが……!


 アタシは自分の脚を力ずくで動かして、二人の元へ……って!?


「マ、マスター!?」

「まあまあ、ここはうちの瑞希に任せて」


 マスターに制止され、アタシはカウンターの中から瑞希を見守る。

 そして、それにホッとしている自分がいて……。


「そもそも、うちの従業員に何の用なんですか!」

「何の用って……そりゃあ悪い男に騙されてるみたいだから、僕が何とかしてあげ「はあ!?」」


 弟の放った言葉が許せなくて、思わず声を上げてしまった。

 言うに事欠いて、アタシの塔也を悪い男呼ばわりするなんて……!


 塔也を悪く言われ、我を忘れたアタシはやっぱり二人の元に行こうとするけど……それでもマスターは行かせてくれなかった。


「アハハ! 悪い男って? ひょっとして池田くんのこと言ってる?」

「……それ以外に誰がいるの?」


 馬鹿にするように嘲笑を浮かべる瑞希に、弟は不機嫌そうに顔を歪めた。


「なあんだ、聞いてみれば、要はうちの従業員の彼氏に嫉妬して、わざわざうちの店までやっかみを言いに来たんだ。うわダサ」

「っ!」


 瑞希の言葉に、弟は勢いよく立ち上がる。


「え? 図星突かれたからって、キレたの? ホントダサいよね。ていうかキモイ。ストーカーじゃん」

「ひひ、人のことストーカー呼ばわりするなんて! 失礼じゃないか!」


 とうとうキレた弟が、瑞希に詰め寄ろうとする。


 だけど。


「オイオイ、瑞希ちゃんに何しようとしてるんだ?」

「さっきから聞いていれば、君、かなり不愉快だよ?」

「え……あう……」


 お店にいた他のお客さんが二人に割って入ると、弟はしどろもどろになる。

 ていうか、ああやってすぐにテンパるところ、ホント塔也とは大違いだし。


「……………………チッ」


 とうとういたたまれなくなった弟は、舌打ちをしてお店の扉へ向かうと。


またね(・・・)、しゆのさん」


 そう言い残し、お店を出て行った。


「あああああ! もう! パパ、塩! 塩ちょうだい!」

「ほら」


 マスターから塩を受け取った瑞希はお店を出ると、「二度と来るなー!」と大声で叫んで塩をまいていた。

 ……本当に、もう二度と来ないで欲しい。


「あー……しゆのちゃんも災難、だねえ……」

「はい……」

「ホント! ふざけんな!」


 まだ怒りが収まらないのか、戻って来た瑞希が叫びながらカウンターをバシバシと叩いている。


「ところで、彼は一体何者なの?」

「あ、あは……実は塔也の弟、なんです……」

「「「「うわあ……」」」」


 そう告げた瞬間、マスターと瑞希……あ、他のお客さんも、一斉に微妙な顔をした。


「とてもあの塔也くんの弟とは思えないねえ……」

「ていうか、いつか犯罪行為に及びそう……」


 ……アタシも二人の意見に完全同意だし。

お読みいただき、ありがとうございました!


次回は明日の朝更新!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] うわあ、そりゃみんな引くわ… 瑞希ちゃん、もともと無駄に正義感ある娘だから… そりゃ塩撒いてもしかたないか
[良い点] 瑞希ちゃんの最初の悪印象はもうなくなってポンコツ可愛いという、見てて癒されるキャラになったところ。 [気になる点] ここまでしきりに「またね」という言葉と「父親」の存在を仄めかしてるのを考…
[良い点] き、キモチワルイ…… どこまで追いかけ回すんだよ弟君…… 瑞希ちゃんやるやんけ!! 君にも素敵な彼氏……ミツカルヨ、キット……ウン。笑
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