ギャルの隣
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「あは! 塔也、お待たせ!」
しゆのさんが特製ビーフシチューをテーブルに運ぶ。
俺はといえば、バゲットとバターを用意して正座待機中だ。
というか。
「しゆのさん……すごく美味そうなんだが……」
ビーフシチューの香りとその見た目に、思わず俺はゴクリ、唾を飲み込む。
「んふふー、でしょ?」
「ああ! 早く食べよう! すぐ食べよう!」
「もう、落ち着きなよー!」
待ちきれないとばかりに俺が身を乗り出すと、しゆのさんは苦笑した。
「そ、それじゃ!」
「「いただきます!」」
俺は素早くスプーンをつかむと、シチューをすくって口へ運ぶ。
「どう……?」
どう? どうって……!
「すごく美味い! 美味過ぎる!」
「あは! おかわりもあるし、どんどん食べて!」
「はああ……牛肉も柔らかくて、口の中でとろけるう……」
あまりの美味さに、口の中で咀嚼する牛肉を飲み込むのをためらってしまう。
「しかし、しゆのさんはどうしてこんなに料理が上手なんだ! 毎日幸せ過ぎるんだが!」
「あうう……もう、褒め過ぎだし!」
そう言って照れるしゆのさん。最高に可愛い。
その後も、俺は夢中でビーフシチューを食べ、あっという間に食べ終わってしまった。
「はあ……ごちそうさまでした」
「あは! お粗末さまでした!」
ああ……最高に満足だ。
「さて、それじゃ後片づけするか」
「うん!」
俺達は食器をシンクに運び、今日も並んで洗う。
こんなことも、ご両親がこの部屋を守ってくれなかったら、叶わなかったんだよな……。
「はは、本当にお母さんとお父さんには感謝しかないな……」
「? 塔也?」
「ああいや、しゆのさんとこれからも、こうやって一緒にいられて嬉しいなって」
「あは……当然だし。アタシはずっと塔也の隣にいるんだから……」
そう言うと、しゆのさんが俺の身体に肩を寄せた。
「俺も、しゆのさんの隣にずっといるから」
「ん……」
そして、どちらからともなく顔を寄せ……。
「ん……ちゅ……」
幸せを享受する誓いのようなキスをした。
◇
「あは! おはよー!」
「しーちゃん! おはよー!」
次の日の朝、教室に着いた俺達は、既に教室に来ていた古賀さんに挨拶した。
というか、今日も古賀さんは朝練かあ。
「よ、池田クン!」
「後藤くん! おはよう!」
俺も後藤くんとコツン、と拳を合わせた。
後藤くんは多分、古賀さんの朝練に付き合ってるんだろう。二人共、相変わらず仲が良いな。
「あ、そうそう。池田に聞きたいことがあったんだ」
「? 俺に?」
古賀さんが俺に聞きたいことだなんて、珍しいな……。
「それで……一体何を?」
「ああうん。ほら、アンタの例の弟なんだけどさ、なんか……アンタのこと根掘り葉掘り聞き回ってるらしいよ?」
「ああ……」
そういえば昨日も、俺のバイト先をクラスの女子から聞いたとか言ってたからなあ……。
「……ひょっとして、古賀さんの後輩に迷惑かけたりした?」
「いや、それ程じゃないんだけどさあ……なんか、アンタのことやたらとディスってたって言ってたよ」
「ああ……」
アイツならそうだろうなあ……。
「じ、じゃあさ、その後輩って俺のバイト先教えたり……した?」
「まさか! ていうか私だって知らないのに、うちの後輩が知る訳ないから!」
「だよね……」
うーん……じゃあ一体誰が俺のバイト先を?
「池田クン、なんでそんなこと聞いたんだ?」
「ああ……昨日、俺のバイト先に弟が来たんだよ……」
そう言うと、俺はガックリとうなだれた。
「ええー……つーか、なんで池田クンのバイト先知ってる奴いるワケ?」
「それが、クラスの女の子に聞いたとか何とか……」
「ふーん……怪しくね?」
後藤くんが訝し気にそう呟くが……うん、俺もそう思う。
俺のバイト先は接客系ではないし、普通に考えてうちの生徒との接点なんか考えられないからな……。
「そもそも、うちの後輩だって池田の情報なんか知る訳ないし、弟に聞かれたからって、答えたのはせいぜいあの噂の顛末くらいだって」
「だよなあ……」
だったら一体誰が……?
「ま、チョット気になるから俺のほうでも調べてみるわ」
「あ、私も後輩とかに聞いてみる」
「二人共……何だかうちの弟のせいですまない……」
俺は非常に申し訳ない気分になる、二人に頭を下げた。
「ハハ、まあいいって! それより何つーか……弟クン、キモチワルイな」
「ちょ!? 蓮!」
後藤くんの言葉を聞き、古賀さんが窘めた。
「はは……いや、俺も後藤くんの言う通りだと思うよ……」
「あ、あは……ねえ……」
俺としゆのさんは、ただ苦笑するしかなかった。
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次回は明日の朝更新!
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