ダブルデート②
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「ふう……やっとひと心地ついた……」
俺は自販機で買ったレモンティーを飲み、息を吐いた。
「ハハ、だけど萩月チャン、はしゃぎまくってるねえ」
「はは、そうだな」
今日がよっぽど嬉しいんだろう。しゆのさんは終始ご機嫌だ。
もちろん俺も、そんな彼女を見てご機嫌なんだけど。
「池田クンは知らないかもしれないけどさ、萩月チャン、中学まではかなり地味だったんだぜ?」
「え? そうなの?」
まあ、ギャルファッションになったのは高校からだとは聞いていたけど、それでもあの容姿だし、かなり目立ってたと思ったんだけどなあ……。
「そうそう。学校にいる時も、せいぜい葵か俺と話すくらいで、他の連中とはあまり話してるとこ見かけたことねーな。何つっても、学校終わったら真っ先に帰ってったし」
「ああ……」
中学卒業までのしゆのさんは、家のことで忙しかったもんなあ。
「そういえば、後藤くんはしゆのさんとは中学からの知り合いなのか?」
「そうだぜ。葵は萩月チャンと幼馴染だから、それこそ保育園の頃からの付き合いみたいだけど」
そういえば、そう聞いたことあったような。
「でさ、萩月チャン、高校来てからギャルになって、何つーか……いっつもヤル気なさそうにしてたんだよね。フラフラと学校に来て、ダラダラして、学校が終わったらテキトーに神谷駅あたりぶらついて」
「ふーん……」
まあ……お母さんがお父さんと再婚して、一番荒れてた時期だからな……。
「俺も葵も、萩月チャンに事情聞こうとしても、いっつも適当にはぐらかされてさ……そんなのが、ずっと続いていたワケ」
「……………………………」
「そしたら、ある日を境に急に萩月チャン、活き活きとしてよく笑うようになってさ……んで、急にRINE来たかと思ったら、『昼休み、体育館の裏で隠れてろ』なんてメッセージ届いて。葵と行ったら、池田クンの例の噂の話が聞こえて、萩月チャンは怒りながら泣いて、池田クンも泣いて」
そうか……あの時、二人も聞いてたのか……。
「で、俺と葵は、池田クンが本当の意味でどういう奴か確かめるために、わざわざ話を聞いたってワケ」
「そうだったな……」
「まあ、あん時は噂ってコエーなって思ったよ。やっぱ人間、自分の目と耳で確かめてナンボだな」
「はは……でも、それも全部しゆのさんのお蔭、だけどね」
俺は後藤くんの言葉に苦笑する。
本当に、俺はあの時のしゆのさんに救われて、俺という存在を認めて貰えて……。
「そして……俺達は池田クンに感謝してるんだ」
「俺に……?」
真剣な表情でそう話す後藤くんに、俺は思わず聞き返した。
「ああ。池田クンのお蔭で、萩月チャンはあんなに笑うようになった。それこそ、それまで……いや、中学ん時と比べても段違いにな」
「…………………………」
「ここにいない葵の分も含めて、礼を言わせてくれ。俺達の友達の心を救ってくれて、ありがとう」
そう言うと、後藤くんは深々と頭を下げた。
後藤くんも、古賀さんも、本当にしゆのさんのこと、大切に想ってくれてるんだな……。
「こちらこそ……お礼を言わせて欲しい。俺が噂で全てを諦めていた時、しゆのさんと一緒に助けてくれたのは、他ならぬ後藤くんと古賀さんだった。本当に、ありがとう……」
俺も後藤くんに向かって、深々と頭を下げた。
「ハハ、アレは俺達が好きでやったことだし気にしなくていいって!」
「それを言うなら、しゆのさんのことだって俺がそうしたいからしただけだ」
「ぷぷ」
「はは」
「あはははははははは!」
俺と後藤くんは腹を抱えて笑い合った。
「はー……ホント、池田クンはいい奴だな」
「それを言うなら後藤くんと古賀さんも、だ」
「おっと、これ以上はまた同じことの繰り返しになりそうだからやめとくか」
「そうだな」
その時。
「「キャアアアアアアアアアア!」」
ジェットコースターから悲鳴がこだまする。
よくは見えないけど、そろそろ二人が乗っている頃かな?
「ハハ! んじゃ、お互いの彼女、迎えに行きますか!」
「だね!」
俺と後藤クンはコツン、と拳を合わせると、ジェットコースター乗り場へと向かった。
◇
「はあー! いっぱい遊んだねー!」
「ほ、本当だね……」
元気いっぱいのしゆのさんを見ながら、俺は肩を落としながら苦笑した。
「ハハ! 二人とも楽しんだようで何よりだな!」
「……というか、今日一日、私はこの二人に見せつけられて悔しい思いしかないんだけど……」
笑顔の後藤くんとは対照的に、ジト目で俺を睨む古賀さん。
「んふふー、アタシと塔也だもん! 当然だし!」
そう言うと、しゆのさんが俺の腕に抱きつき、最高の笑顔を浮かべた。
「はは、でも後藤くんと古賀さんは、どちらかというともう恋人通り越して夫婦みたいな安心感あったけど?」
「にゃあああああああ!?」
俺はわざとおどけてそう言うと、古賀さんが奇声を上げた。
フフフ……いつもの仕返しだ。
「ハハ、でも楽しかったな池田クン。また行こうぜ!」
「ああ!」
そう言ってお互いの拳をコツン、としていると。
「あは、なになに? いつの間にか二人とも、仲良くなってるし?」
からかうようにニシシ、と笑うしゆのさん。
だけど。
「ああ、俺の大切な親友だ」
「ハハ! そうそう!」
「「へえー!」」
俺と後藤くんはニカッと笑うと、二人も嬉しそうに微笑んだ。
お読みいただき、ありがとうございました!
第二章の幕間はここまで!
明日からはいよいよ第三章になります!
第三章では、しゆのさんや古賀さん、後藤くん、そしてしゆのさんのご両親や支店長、マスターと、今まで築いてきた仲間達が塔也を支え、実家である池田家と真っ向から闘います!
どうぞお楽しみに!
次回は明日の朝更新!
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