ギャルの恫喝
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部屋を出て、俺と萩月さんは近所のコンビニに寄った。
で、俺は焼きそばパンとメロンパン、それにコーラにしたんだけど……。
「萩月さんは弁当にするんだ」
「そ、ちゃんと食べないとね!」
そう言って、カゴの中に弁当を二つ入れた。
「後はこれ」
で、飲み物は牛乳らしい。
というか……。
「? 何?」
「あ、い、いや……」
ジッと見ていたのがバレて、俺はサッと顔を背けた。
いや、だって、萩月さんの胸はただでさえすごいのに、これ以上育成しようっていうんだろうか……。
ま、まあいいか。
レジを済ませ、俺達はコンビニを出たところで。
「そうだ、ここからは別々に登校しよう」
「え? なんで?」
「なんでって、それは……」
それは、俺なんかと一緒にいたら、萩月さんに迷惑が掛かってしまうから。
萩月さんまで、俺と同じような目に遭って欲しくないから。
「ふーん……えい!」
「は、萩月さん!?」
突然、何故か萩月さんが俺の腕に自分の腕を絡ませてきた!?
い、一体どういう!?
「一緒に行ってくんなきゃ、ずっと腕組みしたまんまだけどいいの?」
ニヤニヤした顔で俺の顔を覗き見しながら、そんなことを言う萩月さん。
「そ、それは困る……」
いや、萩月さんが腕を絡めてきてから、俺の腕が萩月さんの胸に包まれている訳で……その、り、理性が……!
「あは! それでよし! じゃあ行こ!」
「ええ!? う、腕は!?」
「罰だよ罰!」
そう言うと、萩月さんはそのまま俺をグイグイと引っ張る。
うう……嬉しいけど、恥ずかしい……。
で、学校が近づくにつれ、他の生徒達とも遭遇する訳で。
……案の定、他の生徒達は俺達を怪訝な表情で見ながら、ヒソヒソと小声で話したりしている。
「あ、は、萩月さん、本当にもう……」
「えー、しょうがないなあ」
萩月さんに縋るようにお願いすると、彼女はようやく絡めた腕を外してくれた。
「今度同じようなこと言ったりしたら、もっとすごいことするんだからね? 覚悟しなよー?」
そう言うと、萩月さんはニシシ、と笑った。
「な、なあその……」
「? 何?」
「あ、いや……」
俺は、他の生徒達からの視線が気にならないのか、と尋ねようとして、やっぱり止めた。
そんなことを聞いたら、萩月さんにもっとすごいことされそうっていうのもあるが、それよりも、彼女に失礼だと思ったから。
恐らく、萩月さんも他の生徒達の視線に気づいている筈。
それでもなお、俺と一緒に登校してくれているんだから。
「んじゃ、またねー!」
学校に着くと、萩月さんは下駄箱で手を振って自分のクラスへと向かっていった。
俺はそんな彼女に手を振りながら、彼女の姿が消えるまでずっと見つめていた。
◇
——キーンコーン。
昼休みを告げるチャイムが鳴り、クラスがガヤガヤと騒がしくなる。
ただ、今日はいつもと様子が違った。
朝の登校の件があったからだろう。
今もそうだが、クラスメイト達は朝からずっと俺のほうをチラチラと見てくる。
まあ、その多くは俺を睨みつけるようなものだが。
……場所、移すか。
俺はカバンの中から朝買ったコンビニの袋を取り出すと、席を立「おーい、池っちー!」……って、はあ!?
俺は慌てて声のするほうへと視線を向けると、萩月さんが教室の入口でブンブンと手を振っていた。
「は、萩月さん!?」
「池っちー! 一緒にご飯食べよーよ!」
そう言いながら、笑顔で手を振る萩月さん。
クラスメイト達から、チッ、と舌打ちが盛大に聞こえてきた。
と、とにかく、彼女の元に行くか。
俺はコンビニ袋を持って彼女の元に駈け寄ろうとして。
「っ!?」
いつものように足を掛けられ、俺は転んでしまった。
そして、足を掛けたクラスメイトは萩月さんの前で俺の醜態を見せられたと思ったのか、何故かドヤ顔でヘラヘラしながら俺と萩月さんを交互に見ている。
もちろん他のクラスメイト達も、こんな俺をいつもの嘲笑を浮かべていた。
……早く立たないと。
俺は床に手をついて立ち上がろうとして……。
「池っち!?」
萩月さんが慌てて俺の元に駈け寄り、俺の腕を引っ張って起こそうとしてくれた。
「あ、だ、だい「イヤイヤ、萩月さんみたいな人が、こんなクズに関わっちゃダメだよ!」」
俺の言葉を遮るように、足を掛けたクラスメイトの男子が俺と萩月さんの間に割って入った。
すると。
「は? 人にわざと足掛けといてヘラヘラしてるようなクズが、馴れ馴れしくアタシに話しかけんなし!」
萩月さんはそう怒鳴ると、その男子をグイ、と手で押し退け、改めて俺の身体を起こしてくれた。
「池っち、大丈夫……?」
「ああ、大丈夫だよ」
心配そうに見つめてくれる萩月さんに心配かけまいと、俺は笑顔で答えた。
「そ、それより早く行こう」
「う、うん」
そう言うと、俺は一刻も早く教室から出ようと、早足で歩く……んだけど。
教室を出るところで、萩月さんがクルリ、と振り返った。
「池っちのクラスの連中、みんなクソだね」
萩月さんは凍えそうな程の冷たい視線を向けながら、クラスメイト達にそんな台詞を言い放った。
複雑な表情を浮かべながら視線を泳がせるクラスメイト達。
「さ、行こ!」
萩月さんは俺へと向き直ると、笑顔で俺の腕を引っ張り、俺達は今度こそ教室を出た。
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次回は明日の朝投稿予定!
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