ギャルと初デート③
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「おお……!」
俺はお弁当の蓋を開けた瞬間、感嘆の声を漏らした。
いや、だってそれは仕方ないというものだ。
いつもの学校に持っていくお弁当も当然美味いし、すごく凝ったものではあるが、今日のは特に気合いが入っていた。
主食のサンドイッチを筆頭に、鶏の唐揚げ、ハンバーグ、ブロッコリーとエビとアボカドのサラダに、デザートのリンゴとイチゴの果物まで!
「あ、あは……どう……?」
「どうって! そんなの、食べる前から最高なの分かるから!」
俺は興奮しすぎて、思わず大声で叫んでしまった。
「あは! どんどん食べて!」
「ああ! いただきます!」
俺は急いで手を合わせ、ハムサンドを手に取ると、一気にかぶりついた。
「モグ……うん! 想像以上に美味い!」
「あは! やった!」
いや、本当に美味いぞ!
コショウとマスタードが効いてスパイシーなハムサンド……いいなこれ!
一気にハムサンドを平らげ、次は鶏の唐揚げに手を伸ばす。
フォークで刺して口に入れると……ふおお!
「冷めてるのに、柔らかくてジューシーだ……!」
「お、大袈裟だし……」
「いやいや、唐揚げって普通冷めたら固くなったりするのに、これ、全然そんなことないんだけど!」
「じ、実は、マヨネーズを衣に足して二度揚げすると、そうなるんだし」
「へえ! 萩月さんは本当にすごいな!」
「あうう……池っち褒め過ぎ!」
褒め過ぎ? こんな美味いお弁当を作った萩月さんが悪い!
「うんうん、このサラダも美味しいなあ」
「んふふー、でしょ?」
さあ……そして、最後にとっておいたアイツに挑むぞ!
ということで、俺はハンバーグへと狙いを定め……って。
「い、池っち! ほ、ほら、アーン!」
まさか萩月さんが、そんなことしてくれるとは……!
ならば、俺はそれを全力で受け止めるだけだ!
「ア、アーン……」
俺は口を近づけ、パクッと口に収めると。
「くそう……! 俺はもう死んでもいいかもしれない!」
「そ、そんなのダメだし!」
うん、萩月さんに全力で止められたので、死ぬのは無しで。というか、萩月さんがいるのにそんなこと絶対にイヤだけど。
「はあ……幸せだなあ……」
「あは……池っちはホントにもう……大好き」
「俺も萩月さんが世界一大好き」
「ん……知ってる」
そうして、俺は萩月さんのお弁当に舌鼓を打ちながら、最高のお昼を過ごした。
◇
「さてさて、この後はどうするの?」
デザートの果物を含め、跡形もなくなったお弁当を片づけながら、萩月さんが尋ねた。
「ああ、せっかくだし映画でも観に行こうかなって思ってたんだけど」
「映画! 行く行く!」
よし! 映画というチョイスは悪くなかったぞ!
あとは何を観るか、だが……。
俺はスマホのを取り出し、映画館のサイトを開く。
「今だったらこんなラインナップなんだけど……」
「うーん……うん! ねえねえ池っち、これにしない?」
「どれどれ……」
萩月さんがチョイスしたのは、まさかのホラー映画だった。
「え、ええと……萩月さん、ホラー映画好きなの?」
「アタシ? うん、好き!」
「そ、そうなんだ……」
うう、実は俺、ホラー映画は苦手なんだが……。
「ん? んふふー、ひょっとして池っち、ホラー苦手なんじゃないの?」
そう言って肘でウリウリとする萩月さん。
く、ここは悟られる訳には……!
「い、いや? 俺はホラーはむしろ大好きだが?」
俺は平静を装い、すました表情でそう答えた。
「ふーん、ならこれで問題ないよね!」
「お、おう! モチロン!」
ま、まあ……何とかなる、よな……。
ということで、俺達は映画館に向かい、チケットとポップコーン、ジュースを買って中に入る。
俺達が座るのは、ペアシートってやつだ。
「あは! 池っち、楽しみだね!」
「お、おう!」
なお、俺はホラー映画のプレッシャーで、あの公園からここまで、「おう!」としか言ってなかったりする。
いや、だって怖いんだから仕方ない。
「あ、始まるし!」
館内が暗くなり、いよいよ映画が始まった……。
「…………………………!」
ホラー映画は、いわゆるゾンビものだったんだけど……どちらかというとコメディ寄りだったお蔭で、意外と俺も楽しめた。
うんうん、これなら俺でも……って!? ちょ!?
何というか、ある意味ホラー映画ではおなじみの、いわゆるラブシーンが流れた。
俺はチラリ、と萩月さんを見……って!?
今度はなんと、隣の席のカップルが、その……キスしてやがった……。
で、萩月さんはスクリーンとそのカップルを交互に見ていた……。
「(あ……池っち……)」
そして、潤んだ瞳で俺を見つめる萩月さん。
こ、これって……そういうこと、だよな……。
俺はゴクリ、と喉を鳴らすと、ゆっくりと萩月さんの肩を抱き寄せた。
そして……。
「ん……ちゅ……は……」
俺は、萩月さんの唇に、ゆっくりとキスをした。
「あ……あは……」
「うん……」
それから俺達は、ある意味映画そっちのけで、身体を抱き寄せ合っていた。
◇
「あ、あは……お、面白かったね……」
「う、うん……」
ゴメン……映画、ほぼ覚えてないです。
「さ、さあて、もうこんな時間だし、そろそろ帰る?」
萩月さんが誤魔化すかのように、身体を伸びしながらそんなことを言った。
「あ、じ、実は、最後に一緒に行きたいところがあるんだが、いいかな……?」
「行きたいところ? もちろんオッケーだし!」
「うん、じゃあ行こう!」
ということで、俺は神谷駅前にある高層ビルの屋上展望台に来た。
「うわあ……! 池っち、景色がすごく綺麗!」
「ああ!」
ビルから一望する景色は、夕焼け空と相まってすごく綺麗だった。
そして。
「うーん! 最高!」
隣にいる萩月さんも、夕日に照らされて、そんな景色が吹き飛ぶくらい綺麗で……。
「あは……池っち、コッチ見過ぎだし……」
「萩月さんが最高に綺麗だから、仕方ない……」
「も、もう……」
萩月さんは、はにかみながら俯いてしまった。
「ね、ねえ……そ、その……アタシ達、恋人同士、じゃん?」
「うん……」
「だから、さ……その……これからは、“塔也”って、呼んでもいい、かな……?」
萩月さんからの提案は、すごく可愛いものだった。
思わず抱き締めたくなったが、ここは我慢だ。
「も、もちろん。全然いいよ」
「あ、あは……やった……」
そう言って、立派な胸の前で小さくガッツポーズをした萩月さん。
そしてこちらへと向き直ると。
「あは、“塔也”」
「なあに? 萩月さん」
すると、萩月さんは少しガッカリした表情を浮かべた。なんで!?
「もう……アタシが“塔也”って呼んだんだから、“塔也”も“しゆの”って呼んで欲しいし……」
「う……そ、そう……だよな……」
確かに、俺だってその、は、萩月さんの彼氏な訳で……。
よ、よし!
「し、“しゆの”……さん」
「あ……うん……“塔也”……」
俺が名前を呼ぶと、はぎ……しゆのさんは俺の身体に身を寄せ、そっと瞳を閉じた。
「しゆのさん……」
「ん……ちゅ……」
俺達は人目もはばからず、デートの締めくくりとして、しばらくの間、今日二回目のキスを堪能した。
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次回は明日の朝更新!
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