表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/96

ギャルと初デート③

ご覧いただき、ありがとうございます!

「おお……!」


 俺はお弁当の蓋を開けた瞬間、感嘆の声を漏らした。


 いや、だってそれは仕方ないというものだ。

 いつもの学校に持っていくお弁当も当然美味いし、すごく凝ったものではあるが、今日のは特に気合いが入っていた。


 主食のサンドイッチを筆頭に、鶏の唐揚げ、ハンバーグ、ブロッコリーとエビとアボカドのサラダに、デザートのリンゴとイチゴの果物まで!


「あ、あは……どう……?」

「どうって! そんなの、食べる前から最高なの分かるから!」


 俺は興奮しすぎて、思わず大声で叫んでしまった。


「あは! どんどん食べて!」

「ああ! いただきます!」


 俺は急いで手を合わせ、ハムサンドを手に取ると、一気にかぶりついた。


「モグ……うん! 想像以上に美味い!」

「あは! やった!」


 いや、本当に美味いぞ!

 コショウとマスタードが効いてスパイシーなハムサンド……いいなこれ!


 一気にハムサンドを平らげ、次は鶏の唐揚げに手を伸ばす。

 フォークで刺して口に入れると……ふおお!


「冷めてるのに、柔らかくてジューシーだ……!」

「お、大袈裟だし……」

「いやいや、唐揚げって普通冷めたら固くなったりするのに、これ、全然そんなことないんだけど!」

「じ、実は、マヨネーズを衣に足して二度揚げすると、そうなるんだし」

「へえ! 萩月さんは本当にすごいな!」

「あうう……池っち褒め過ぎ!」


 褒め過ぎ? こんな美味いお弁当を作った萩月さんが悪い!


「うんうん、このサラダも美味しいなあ」

「んふふー、でしょ?」


 さあ……そして、最後にとっておいたアイツに挑むぞ!

 ということで、俺はハンバーグへと狙いを定め……って。


「い、池っち! ほ、ほら、アーン!」


 まさか萩月さんが、そんなことしてくれるとは……!

 ならば、俺はそれを全力で受け止めるだけだ!


「ア、アーン……」


 俺は口を近づけ、パクッと口に収めると。


「くそう……! 俺はもう死んでもいいかもしれない!」

「そ、そんなのダメだし!」


 うん、萩月さんに全力で止められたので、死ぬのは無しで。というか、萩月さんがいるのにそんなこと絶対にイヤだけど。


「はあ……幸せだなあ……」

「あは……池っちはホントにもう……大好き」

「俺も萩月さんが世界一大好き」

「ん……知ってる」


 そうして、俺は萩月さんのお弁当に舌鼓を打ちながら、最高のお昼を過ごした。


 ◇


「さてさて、この後はどうするの?」


 デザートの果物を含め、跡形もなくなったお弁当を片づけながら、萩月さんが尋ねた。


「ああ、せっかくだし映画でも観に行こうかなって思ってたんだけど」

「映画! 行く行く!」


 よし! 映画というチョイスは悪くなかったぞ!

 あとは何を観るか、だが……。


 俺はスマホのを取り出し、映画館のサイトを開く。


「今だったらこんなラインナップなんだけど……」

「うーん……うん! ねえねえ池っち、これにしない?」

「どれどれ……」


 萩月さんがチョイスしたのは、まさかのホラー映画だった。


「え、ええと……萩月さん、ホラー映画好きなの?」

「アタシ? うん、好き!」

「そ、そうなんだ……」


 うう、実は俺、ホラー映画は苦手なんだが……。


「ん? んふふー、ひょっとして池っち、ホラー苦手なんじゃないの?」


 そう言って肘でウリウリとする萩月さん。

 く、ここは悟られる訳には……!


「い、いや? 俺はホラーはむしろ大好きだが?」


 俺は平静を装い、すました表情でそう答えた。


「ふーん、ならこれで問題ないよね!」

「お、おう! モチロン!」


 ま、まあ……何とかなる、よな……。


 ということで、俺達は映画館に向かい、チケットとポップコーン、ジュースを買って中に入る。

 俺達が座るのは、ペアシートってやつだ。


「あは! 池っち、楽しみだね!」

「お、おう!」


 なお、俺はホラー映画のプレッシャーで、あの公園からここまで、「おう!」としか言ってなかったりする。

 いや、だって怖いんだから仕方ない。


「あ、始まるし!」


 館内が暗くなり、いよいよ映画が始まった……。


「…………………………!」


 ホラー映画は、いわゆるゾンビものだったんだけど……どちらかというとコメディ寄りだったお蔭で、意外と俺も楽しめた。

 うんうん、これなら俺でも……って!? ちょ!?


 何というか、ある意味ホラー映画ではおなじみの、いわゆるラブシーンが流れた。

 俺はチラリ、と萩月さんを見……って!?


 今度はなんと、隣の席のカップルが、その……キスしてやがった……。

 で、萩月さんはスクリーンとそのカップルを交互に見ていた……。


「(あ……池っち……)」


 そして、潤んだ瞳で俺を見つめる萩月さん。

 こ、これって……そういうこと、だよな……。


 俺はゴクリ、と喉を鳴らすと、ゆっくりと萩月さんの肩を抱き寄せた。


 そして……。


「ん……ちゅ……は……」


 俺は、萩月さんの唇に、ゆっくりとキスをした。


「あ……あは……」

「うん……」


 それから俺達は、ある意味映画そっちのけで、身体を抱き寄せ合っていた。


 ◇


「あ、あは……お、面白かったね……」

「う、うん……」


 ゴメン……映画、ほぼ覚えてないです。


「さ、さあて、もうこんな時間だし、そろそろ帰る?」


 萩月さんが誤魔化すかのように、身体を伸びしながらそんなことを言った。


「あ、じ、実は、最後に一緒に行きたいところがあるんだが、いいかな……?」

「行きたいところ? もちろんオッケーだし!」

「うん、じゃあ行こう!」


 ということで、俺は神谷駅前にある高層ビルの屋上展望台に来た。


「うわあ……! 池っち、景色がすごく綺麗!」

「ああ!」


 ビルから一望する景色は、夕焼け空と相まってすごく綺麗だった。


 そして。


「うーん! 最高!」


 隣にいる萩月さんも、夕日に照らされて、そんな景色が吹き飛ぶくらい綺麗で……。


「あは……池っち、コッチ見過ぎだし……」

「萩月さんが最高に綺麗だから、仕方ない……」

「も、もう……」


 萩月さんは、はにかみながら俯いてしまった。


「ね、ねえ……そ、その……アタシ達、恋人同士、じゃん?」

「うん……」

「だから、さ……その……これからは、“塔也”って、呼んでもいい、かな……?」


 萩月さんからの提案は、すごく可愛いものだった。

 思わず抱き締めたくなったが、ここは我慢だ。


「も、もちろん。全然いいよ」

「あ、あは……やった……」


 そう言って、立派な胸の前で小さくガッツポーズをした萩月さん。

 そしてこちらへと向き直ると。


「あは、“塔也”」

「なあに? 萩月さん」


 すると、萩月さんは少しガッカリした表情を浮かべた。なんで!?


「もう……アタシが“塔也”って呼んだんだから、“塔也”も“しゆの”って呼んで欲しいし……」

「う……そ、そう……だよな……」


 確かに、俺だってその、は、萩月さんの彼氏な訳で……。


 よ、よし!


「し、“しゆの”……さん」

「あ……うん……“塔也”……」


 俺が名前を呼ぶと、はぎ……しゆのさんは俺の身体に身を寄せ、そっと瞳を閉じた。


「しゆのさん……」

「ん……ちゅ……」


 俺達は人目もはばからず、デートの締めくくりとして、しばらくの間、今日二回目のキスを堪能した。

お読みいただき、ありがとうございました!


次回は明日の朝更新!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これが初デートかいね、って。 昼飯だから、まだまだ中盤だよねえ。
[良い点] あ、あまーーい!! ブラックコーヒー片手に読んだのに、あまーい!!笑 そして私の涙でしょっぱーい(泣) ふふ、お弁当の後はデザートのチューでしょ?とか軽く思ってたらメインが来ました(笑)…
[良い点] まあ、映画デートならキスするっしょ え、違うの?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ