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ボッチな俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ  作者: サンボン
第二章 救われたアイツがギャルを救う
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ギャルがいないと

ご覧いただき、ありがとうございます!

「お疲れ様でした!」


 支店長以下従業員の皆さんに大声で挨拶すると、俺は事務所を出て駆け足で喫茶店へと向かう。


 萩月さん、バイト代が増えてどこか遊びに行けるってなったら、喜んでくれるかな?


 俺は少し浮かれ気味にそんなことを考えていたためか、思いのほか早く着いた気がする。


 ——カラン。


「あは! 池っち!」

「萩月さん、迎えに来たよ」


 喫茶店に入るなり、萩月さんが笑顔で駆け寄って来た。

 ひょっとして俺のこと、心待ちにしてくれてたのかな? ……って、それは自惚れすぎか。


「はあああああああ……」


 で、マスターの娘の瑞希さんは、なんでそんなこれ見よがしに落ち込んだポーズなんかとってるんだ?

 しかも、聞いて欲しそうにチラチラとこっち見てるし。


 ……仕方ない。


「(ね、ねえ……瑞希さん、どうしたの?)」


 本当は全然興味ないんだけど、面倒くさそうなので一応聞いてみるフリをする。

 といっても、萩月さんに間接的に確認するだけなんだけど。


「? ああ……それがアタシにも分からないんだけど?」

「なんで分からないの!?」


 とうとう耐えかねた瑞希さんが、俺達の会話に割り込んできた。


「へ? だって、そんな溜息吐かれたり落ち込んだりしてても、話聞かなきゃ分かんないし?」

「じゃあ聞いてよ! なんで聞いてくれないの!?」


 彼女の言葉に、俺と萩月さんはお互い目を見合わせると。


「「興味ない」」

「ヒドイ!?」


 いや、本当に興味ないし。


「はあ……分かったから、早く言えし」


 萩月さんはこのまま放っておいたほうが面倒と判断したのか、とりあえず話を聞くことにしたようだ。


「……いっつも二人のあまあまイチャイチャ見せられて、私も彼氏欲しいって思っただけなんだけど……」

「「はああああああ!?」」


 俺と萩月さんは一斉に声を上げた。

 だ、誰と誰が恋人同士だって!?


 俺は思わずチラリ、と萩月さんを見ると……彼女も顔を真っ赤にしながら俺のほうを見ていた。


 あ……は、萩月さん……………………って、勘違いするな、俺。


 萩月さんは、あくまでお母さんの“代わり”として俺を見てるだけで、べ、別に俺のことをそんな風に見てる訳じゃないんだから……。


 でも。


「~~~~~~~~~~!」


 それじゃあ、この萩月さんの態度は一体……?

 耳まで真っ赤にして、俯いて、でも口元は嬉しそうで……。


 いくら俺がそういったことに疎くても、萩月さんのこの態度を見てしまったら勘違いしてしまうんだが。


「あああああ! もおおおお! 二人共爆ぜろ! もげろ!」


 とうとう瑞希さんが頭を掻きむしりながら思い切り地団駄を踏み出した。

 まあソッチは無視だ。


「はは、初々しいねえ。そして我が娘ながら、なんて残念なんだ……」

「パパヒドイ!?」


 あ、それはちょっと酷いかも。


「そ、それより! 萩月さん、そろそろ帰ろう?」

「ハッ! ……あ、あは、そうだね……す、すぐ帰る準備してくるし!」


 そう言って、萩月さんは両手で顔を覆いながらバックヤードに駆け込んでいった。


 そして俺は、そんな恥ずかしそうにする萩月さんを可愛いと思ってしまうのは仕方のないことだ。うん。


 ◇


「ええ!? お給料に色付けてもらえるの!?」

「うん、そうなんだ」


 俺が今日支店長に言われた給料アップの話をしたら、シンクのところで晩ご飯を作っている萩月さんが笑顔でこちらへと振り返った。


 うんうん、収入が増えるのは嬉しいよな。

 特に、今ではうちの家計は全て萩月さんに任せているからなおさら。


「あは! そっかー……そしたらちゃんと貯金しておかないとだし!」

「え?」


 萩月さんの口から出てきた意外な言葉に、俺は思わずキョトンとしてしまった。


「え? そんなの当たり前じゃん。ただでさえ仕送りのお金が少ないし、それに高校を卒業したら、池っちは実家から名実共に独立するんだし」


 当然だとばかりに、萩月さんは軽く溜息を吐いた。

 だけど……そんなことまで考えてくれてたんだな……。


 俺はそれがすごく嬉しくて、思わず泣きそうになってしまった。


「あ、あは! もう……メソメソすんなし……そ、それに、アタシだって……ずっと、傍に……(ボソッ)」


 そう言うと恥ずかしくなったのか、萩月さんはまたシンクへと向き直して料理を続けた。


 萩月さんが、小さく呟いた最後の言葉……。


 それって……。


 俺はその続きを聞こうとしたが、思い留まる。

 だって……もし、俺の期待と違う答えが返ってくることが、怖かったから……。


 俺はただじっと、口を結んだまま調理を続ける萩月さんの背中を見つめていた。


 そして。


「あは! お待たせ!」


 晩ご飯を作り終えた萩月さんが、今日の料理をお盆に乗せてやってきた。


 今日の晩ご飯は……おお!


「に、肉じゃが……!」

「あ……ひょっとしてそんなに好きじゃなかった……?」


 萩月さんが不安そうな表情で俺を見るが、それは勘違いというものだ。


「まさか! 肉じゃがは男が好きな人に作ってもらいたい料理ベストスリーに入る料理だから!」

「そそそ、そうなの!?」


 そうだとも! 肉じゃがとはそれほど崇高で尊いものなのだ!


 ということで。


「萩月さん! 早く! 早く食べよう!」

「あ、ああああ、う、うん!」

「「いただきます!」」


 俺は手を合わせるや否や、速攻で箸でじゃがいもをつかむと、ごはんにワンバウンドさせてから口の中へ……!


「美味い! 美味い!」

「あああああ! もう! 大袈裟だし!」


 萩月さんは顔を真っ赤にして抗議するが、俺はお構いなしに次々と肉じゃがを食べ続ける。

 こんなの……こんなの、箸が止まらないんだけど!


「んぐっ!?」

「ああもう! そんなにがっつくからだし!」


 萩月さんが俺の傍にやってきて、喉に詰めた俺の背中を優しく叩いてくれた。


「ぐふ……あ、ありがとう……」

「もう……池っちはしょうがないなあ」


 呆れた表情で俺を見る萩月さん。

 でも、その言葉を否定できない。


 いや、むしろ。


「俺は……萩月さんがいないとダメな人間だから」

「っ!」


 ……って、何言ってんだ俺。

 まるで、萩月さんを縛るような言い方。


 ああ……俺は卑怯、だ。

お読みいただき、ありがとうございました!


次回は明日の朝更新!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] んああぁっ!!もげろ!!(何がww) それかギャルの肉じゃがを世の中の独身者に公平に分けてください!!ww ダメ人間でもいいよぉ……萩月さんが居ないとダメなズブズブになろうよぉ……←
[気になる点] 何だか主人公ずっと何か食べてるなぁ…胃袋掴まれるというより餌付けされている??
[一言] やっぱりその言葉は違うよね。男らしく思いのたけを素直に/w
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