ギャルの膝枕
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昼休み。
俺はカバンから弁当を取り出して萩月さんが迎えに来るのを待つ。
昨日は嘘を吐いて悲しい思いをさせちゃったから、今日は全力で萩月さんをエスコートさせてもらおう。
というか、こうやって迎えに来るのを待っている時点でどうなのか、という思いはあるが。
すると……アレ? 萩月さん、教室の前でウロウロしてどうしたんだ?
しかもよく見ると、さっきから萩月さんはチラチラと中の様子を窺っているし。
そして、意を決したかのようにフンス! と小さくガッツポーズしたかと思うと。
「い、池っちー! お昼行こ!」
おお、やっと声を掛けてくれた。
だけど、あの一連の間は何だったんだ?
まあいいか。
俺は弁当を手に持ち、萩月さんの元に駈け寄る。
「お待たせ。それじゃ行こうか」
「あ、あは! うん!」
萩月さんはパア、と笑顔になり、俺達はいつものように中庭へと向かう。
うん、今日も天気が良くて気持ちいいな。
「さて、今日はどこに座ろうか?」
「あ、今日もあの木の下が、その……いいし……」
そう言って、萩月さんはモジモジしながら指を差した。
「うん。じゃああそこにしよう」
「うん!」
ということで、木の下の芝生にシートを引いて俺達は腰を下ろし、弁当の蓋を開ける。
今日は昨晩や朝と同様、食材がほとんどなかったのでおにぎりと生野菜のスティックサラダという非常にシンプルな内容だ。
「ゴ、ゴメンね池っち……」
そして、何故か悲しそうに謝る萩月さん。
というか、萩月さんが気にすることなんか何一つないというのに……。
だから。
「はぐ! モグモグ……うん! 美味い!」
「あ……あは、池っちはもう……」
俺はわざと『いただきます』を待たずにおにぎりにかぶりつき、満面の笑みを浮かべた。
だって、萩月さんの作ったおにぎりは本当に美味しいし、それに、こんなに一生懸命にしてくれる萩月さんにそんな悲しい表情をして欲しくないから。
萩月さんもそれは悟ったようで、少し頬を赤らめてはにかんでくれた。
うん、やっぱり萩月さんの笑顔は最高だ。
で、当然おにぎりとサラダだけだから、食べ終わるのも早くて。
「「ごちそうさまでした!」」
あっという間に平らげた俺と萩月さんは、昼休み終了までのんびりと中庭で過ごすことにした……んだけど。
「え、ええと……萩月さん?」
「あ、あは! その……ホラ! コッチ来るし!」
おもむろに正座した萩月さんが、自分の太ももをパンパン、と叩く。
しかも『来い』って……ま、まさか、ね……?
と、とりあえず俺は萩月さんの隣に座り直してみる。
「そ、そうじゃないし! 頭!」
「頭……!」
や、やっぱり!
これは膝枕の合図だったかあっ!
「あ、ほ、本当に……?」
「~~~~~~~~~~!(コクコク)」
萩月さんが顔を真っ赤にし、俯きながらもブンブンと首を縦に振った。
く……! ここで俺に断るなんて選択肢が……ある訳がない!
「そ、それじゃ……」
俺はゴクリ、と唾を飲み込むと、おそるおそる萩月さんの太ももに頭を……!
——ふにゅ。
や、柔らかい……! 何だこの感触は……!
「あ、あは……その、ど、どうかな……?」
「さ、最高でしゅ!?」
あ、舌噛んだ。
「あは! もう! 池っちってば!」
だけどそれが萩月さんのツボに入ったようで、彼女はケラケラと笑って俺の肩をバシバシと叩いた。
良かった……萩月さん、普段の調子に戻ったみたい。
「んふふー、池っちもこんなカワイイ女の子に膝枕なんてしてもらって、もう他の女の子じゃ満足できなくなるかもだし?」
そして、萩月さんは俺の顔を上から覗き込んで、少し得意げな表情でそんなことを聞いてきた。
でも、答えなんて決まっているよな。
「俺は……萩月さん以外の女の子なんて、最初から目に入らないよ」
「あああああ!?」
俺の答えを聞き、萩月さんは顔を……いや、耳も首筋も真っ赤にしながら、両手でわたわたと顔を押さえる。
そんな萩月さんの様子が可愛くて、愛おしくて……。
気がつけば、俺は萩月さんの頬をそっと撫でていた。
「あ……池、っち……」
「って、あああああああ!?」
お、俺は何をしてるんだよ!
「ゴ、ゴメン!」
俺は慌てて身体を起こすと、土下座の恰好で萩月さんに何度も深々と頭を下げた。
すると。
「ア……タシは、その……嬉しかった、し……」
そう言うと、萩月さんはおずおずと俺の手をキュ、と握った。
「は、萩月さん……」
「池っち……」
俺と萩月さんは、ここが中庭だってことも忘れて、見つめ合う。
萩月さんの顔は上気し、その瞳は潤んで……。
——キーンコーン。
「「あああああああ!」」
昼休みの終了を告げるチャイムが鳴り、俺と萩月さんはその場で思い切り地面を叩いた。
「なんで! なんで昼休みがここで終わるんだよ! 空気読めよ!」
「なんで! なんで昼休みがここで終わるんだし! 空気読めし!」
あ、ハモった。
で、でも……萩月さんも、俺と同じように感じてくれたんだ……。
昼休みがタイミング悪く終わってしまってガッカリではあるが、俺はそれでも、彼女と同じ想いを享受できたことが嬉しくて。
「はは!」
「あは!」
「「あははははははは!」」
俺と萩月さんは、チャイムを掻き消すかのように、大声で笑い合った。
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次回は明日の朝更新!
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