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ボッチな俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ  作者: サンボン
第二章 救われたアイツがギャルを救う
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アイツの嘘

ご覧いただき、ありがとうございます!

■萩月しゆの視点


「もう! 池っちのバカ!」


 昼休み、アタシは教室の自分の席で、お弁当のロールパンで作ったホットドックに思いっ切りかじりついた。

 それはもう、このモヤモヤをぶつけるくらいの勢いで。


 そしてアタシがこんな感じなので、クラスメイト達はアタシに話しかけることもできずに遠巻きに眺めている。

 ていうか、今話しかけられたら、確実に当たり散らすと思うから正解ではある。


「大体、ただのバイトの池っちに、あの支店長さんも何の用があるんだし! ホント、デリカシーゼロだし!」


 池っちのバイト先の上司である支店長さんは、うちの喫茶店の常連でもあるので、アタシもよく知っている。

 豪快な人で、優しくていい人ではあるんだけど、そういったことには確実に疎そうなんだよねー。


「……とにかく、今度うちの店に来た時、絶対にコーヒーに入れる砂糖を塩にすり替えてやるし」


 あは……アタシの幸せな時間を奪った罪は重いんだし!


 とはいえ。


「ハア……でも、池っちだって個人的なことだってあったりするよね……」


 そう、アタシのしてることは、ある意味束縛みたいなもので……池っちにだって自分だけの時間が欲しかったりする筈だし


 それに……池っちはアタシがあの部屋でお世話になるようになってから、自分の時間も、世界も、失くしてしまったんだ。


 ……アタシがあの部屋に来たせいで。


「あ、あは! でも、池っちはアタシと一緒で幸せだって言ってくれてるし!」


 うん。


 池っちは、アタシのご飯を幸せそうに食べてくれる。

 池っちは、アタシが笑うと、嬉しそうに微笑んでくれる。

 池っちは……アタシを必要としてくれる。


 でも、それはアタシが池っちの心を救ったから。

 だから、池っちはアタシに恩を感じて、気を遣ってくれてるだけ……かもしれない。


 そして、アタシは……。


「……アタシは池っちのこと、単なるお母さんの代わりにしてるだけ、なのかな……」


 そう考えたらアタシは胸が苦しくなって、思わず自分の胸襟をつかんでキュ、と握り締めた。


 アタシ……池っちを都合のいいように利用、してるんだ。


 イヤだ。

 イヤだ、イヤだ、イヤだ。


 池っちがただの気遣いでアタシを必要としてくれてるって事実も、アタシが池っちを利用してるだけって打算も。


 じゃあ、どうして?

 どうして、アタシはそれがイヤなの?


「……もう、訳分かんないし……」


 ねえ、池っち……アタシ、どうすればいいのかな……?


 アタシはカバンからスマホを取り出し、RINEを立ち上げてメッセージを見る。


『しゆの、元気? お母さんも、お父さんも、いつでもあなたの帰りを待っています』


 昨日の夜中、お母さんから届いたメッセージ。


 今までは、精々スマホへの着信くらいしかなかったのに、昨日に限ってメッセージが送られてきた。

 急に……今さら心配してるかのようなフリして……。


 今なら……池っちの傍から離れることができるかもしれない。

 そして、池っちのこれからを考えたら、アタシはあの部屋を出て行ったほうがいいのかもしれない。


 でも……離れたくない。


 池っちの傍にいたい。

 池っちに、もっともっと触れていたい。


 アタシは、池っちが……。


「しーちゃああああああああん!」


 すると、葵がアタシ目がけて突撃してきた!?


「ダキッ!」

「『ダキッ!』じゃないし! 離れろし!」


 ああもう! アタシが色々考えてた時に邪魔して!


「ハハハ、ワリイワリイ」

「後藤! アンタ、これっぽっちも悪いと思ってないし!」


 後藤はヘラヘラ笑いながら謝罪するけど、むしろこの状況を楽しんでるくせに!


「というか、しーちゃんまだお昼ご飯食べてるの?」

「へ? ……あ、あは、そうだし……」


 そうだった。

 池っちのこと考えてたせいで、お弁当食べる手が止まってたんだった。


「ふーん……で、なんでアイツとお弁当の中身が一緒なのかなあ?」


 何故か葵がアタシをジト目で睨んだ。

 く、くう……! 葵のくせに目ざといし!


「べ、別に、池っちのお弁当の中身なんか知らないし!」


 そう言うと、アタシは葵から追及を逃れるためにプイ、と横を向いた。


「えー! 絶対ウソだ! だって、アイツのお弁当にも同じようにウサギのリンゴ入ってたもん!」

「バ、バカ!? 葵!?」


 なおも追及の手を止めない葵が、さらに詰め寄り、後藤が焦った表情で葵を(たしな)める……って。


「ねえ、葵……なんでアンタ、池っちのお弁当の中身をそんなに詳しく知ってんの?」


 アタシは自分でも驚くくらい低い声が出た。


「ふえっ!? え、ええと……」

「ハ……ハハハ、そ、そう! 今日の朝、池田クンが嬉しそうに弁当の中身教えてくれたんだって!」

「そ、そうそう!」


 へえ……池っちがお弁当の中身を教えてくれた、ねえ?


「……もういいし」

「あ……しーちゃん……」

「もういいし! オマエ等アッチ行けし!」


 アタシは二人を怒鳴り、食べかけのお弁当を無造作にカバンにしまった。

 そして、これ以上は話をしないとばかりに、アタシは机に突っ伏した。


 池っち、支店長さんと仕事の話があるって言ってたじゃん!

 だから、アタシと一緒に食べられないって謝ってたじゃん!


 なのに……なのに……!


「……池っちの、バカあ……」


 池っちに嘘吐かれたことが悔しくて、池っちに避けられたことが悲しくて。


 アタシは、放課後まで突っ伏したままの姿勢で、零れそうになる涙を必死で堪えていた。

お読みいただき、ありがとうございました!


次回は明日の朝更新!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] あ、あぁ……好き過ぎて拗れちゃってる。 葵ちゃんやっちゃったね〜w まぁねー、好きだから◯◯の代わりとか思っちゃうのは嫌だよね どうなるどうなる〜
[一言] まあ、嘘と言っても可愛いものだけれど… 自分が負担になっているかも、と思っテルから過剰反応しちゃうのかな?
[一言] 萩月、いい感じになってきた。
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