表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボッチな俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ  作者: サンボン
第二章 救われたアイツがギャルを救う
33/96

早起きなギャル

ご覧いただき、ありがとうございます!

「池っち! おはよ!」

「ゲホアッ!?」


 次の日の朝、俺は満面の笑みを浮かべる萩月さんにボディプレスされ、名実共に叩き起こされたんだけど……。


「あ、ああ、おはよう……って、アレ? 俺、ひょっとしてアラームをセットし忘れた?」


 俺はスマホを見ると……うん、いつもの時間より一時間近く早い。


「え、ええと……」

「んふふー、今日は早く目が覚めちゃったし、退屈だから起こした」


 そう言うと、萩月さんは嬉しそうに微笑む。

 うん、萩月さんは退屈かもしれないけど。


「よし、おやすみ」

「コラコラコラ! 寝るなし!」


 二度寝しようと俺はもう一度布団に潜るが、萩月さんが掛け布団を引き剥がしてしまった。


「もう! せっかく早起きしたんだから、もっとアタシを構ってよ!」


 そう言って頬を膨らませる萩月さん。何これ、超可愛い。


「じゃ、じゃあ俺も起きて支度するか……」


 俺はこれ以上寝ることを諦め、大人しく起きて支度することにした。


「あは! じゃあアタシ、あったかいお茶でも淹れるね!」


 俺が起きることで気を良くした萩月さんが、嬉しそうにキッチンに行くと、ケトルにお水を入れて火にかけた。

 さて……萩月さんは向こうを向いている間に着替えを……。


「ねえねえ池っちー、お茶なん……だけ……ど……」

「あ……」


 ちょうど俺がズボンをはき替えているタイミングで、萩月さんがこちらへと振り返ってしまった。

 当然、俺は下半身がパンツ一丁なんだが。


「……キ」

「……キ?」

「キャアアアアアアアア!?」

「おわっ!?」


 萩月さんは顔を真っ赤にして絶叫した。

 というか、ヤバイこれヤバイ!?


 俺は慌ててズボンをはこうとするが、こういう時に限って足がもつれたりするし!?


「こ、この……!」


 恥ずかしさすら通り越した萩月さんが、肩をプルプルと震わせる。

 そして、その右手は思い切り拳を握り固められていた。


「ま、待て萩月さん! これは違う! 違うから!?」

「問答無用!」

「ぐはあ!?」


 あはれ、俺は萩月さんの右ボディーブローの餌食になってしまった……。


 ◇


「もう! 池っちの変態! セクハラ! エロ魔人!」

「……うう、冤罪だ……」


 俺は昨日から新たに称号が一つ与えられ、半ベソをかきながら朝ご飯を食べている。

 なお、今日の朝ご飯はバターロールパンと目玉焼き、ソーセージ、そしてコーンスープだ。


「うう、美味いけど釈然としない……」

「もう! 池っちもいつまでもグズグズ言うなし! それと、ありがと!」


 萩月さんはプリプリと怒りながらも、ちゃんと俺の朝ご飯への感想に対して返事してくれたりする。

 ああもう、こんなやり取りも含めて幸せ過ぎるんだが。


 だけど……。


 俺はチラリ、と萩月さんを見る。


「? 池っち、どうしたの?」

「あ、ああいや、何でもない」

「変なの」


 そう言うと、萩月さんはそれ以上気にすることなく朝食を続ける。


 だけど……萩月さんは、俺のことをどう思っているんだろう……。


 いや、こうやってこの部屋で一緒に暮らしてくれているってことは、俺のことを信頼してくれているんだと思う。

 それに、こうやって一緒に暮らすことを、“幸せ”だとも言ってくれている。


 それに関しては疑いの余地はないんだが……一方で、完全に俺のことを人畜無害な生き物として扱われている現状……どうなの?


 いや、もちろん俺は萩月さんに何かしようとか、信頼を裏切るような真似をするとか、そういった考えはさらさらないんだが、それでも、俺も一応“男”ではある訳で……。


 ……萩月さん、好きな人がいたりとか、するんだろうか……って、何考えてるんだ俺。


 萩月さんは家族と何かあって、家を飛び出して、行き場所がないからこそ、この部屋に一緒に住んでいるだけなんだ。

 だから……萩月さんはいずれ、この部屋からいなく、なる……んだ……。


「っ!? ちょっと池っち、どうしたの!?」

「え……?」


 突然、萩月さんが驚いたような、心配するような、不安そうな、そんな表情を浮かべていた。


「い、いや、俺は別に何ともないが……」

「そんなの嘘だし! だって池っち、今にも泣きそうな顔してるじゃん!」


 あ……。


 確かに、萩月さんがいなくなるって考えたら、悲しくて、つらくて、まるで心にぽっかりと穴が空いた気分になったけど……まさか顔に出ていたとは。


「い、いや、本当に何もないよ! ただ……」

「……ただ?」

「ただ、萩月さんがもしいなくなったらって考えたら、どうしようもなく悲しくなってしまって……」


 俺は正直に自分の心境を吐露した。


 別に、たった今自分自身に困っているような境遇がある訳じゃないし、それに、たとえ下らない考えだったとしても、心配してくれる萩月さんにちゃんと言わないと失礼だと思ったから。

 後は、何の心配もないってことを、彼女に分かってもらわないといけないし。


「あ、あは! もう……ビックリさせんなし! ……アタシは、池っちの傍からいなくなったり、その……絶対しないし」


 そう言うと、萩月さんは顔を赤くしながら俯いた。


「あ、うん……俺もそれは分かってはいるんだが、つい……」

「ん、んふふー……もう池っちは、アタシなしじゃ生きられないね」


 萩月さんは、悪戯っぽくそんなことを言った。

 だけど、顔は真っ赤で、視線はせわしなく動いていて、緊張しているのが丸分かりだったりする。


「はは……そうだな。俺は、萩月さんなしじゃ、生きられない、かな……」

「っ! も、もう! 池っちのバカ!」


 そう言うと、萩月さんはプイ、と顔を背けてしまった。


 そんな萩月さんを見て、俺はクスリ、と微笑む。


 だけど。


 萩月さん……本当は、昨日のお母さんからの電話……いや、メッセージだったのかな。何かあったんだろ?

 それが気になって、今朝はこんなに早起きしたんだろ?


 俺は、そんな不安を無理矢理抑え込むように、テーブルの下でギュ、と拳を握り締めた。

お読みいただき、ありがとうございました!


次回は明日の朝更新!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] その不安は、まあ普通に起きるよね… 今のままでいるのは、やっぱり不自然。動き出すきっかけがもうすぐ。
[良い点] イチャイチャだ〜!! もはや恋人か夫婦並みの生活だけど、付き合う前のこの距離感でのラブコメが好きですww 萩月さんの初心な感じもいいですね!!可愛いwww
[気になる点] なんで着替え見られた方が暴力振るわれてるんですか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ