ギャルのバイトゲットと意趣返し
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喫茶店エピソード、後編!
「お、お待たせしました……」
「あ……」
例のマスターの娘さんが、俺と支店長のピラフを運んできた。
「おう! 来た来た!」
支店長は娘さんから嬉しそうにピラフの皿を受け取る。
俺は……目を合わすこともできず、ただ無言でテーブルにピラフが置かれるのを見ていた。
「あ、あの!」
意を決したように、娘さんが俺の声を掛けてきた。
……はあ、できれば俺のこと無視して欲しいんだけど。
「そ、その……こ、この前は……」
「ああ……別にもういいから……」
俺は彼女に一瞥もしないまま、俯きながらそう答えた。
早く行ってくれないかな。
だけど、そんな願いもむなしく、彼女はここから一切離れようともしない。
かといって、支店長やマスターの手前、下手なことも言えないし……。
あれ? 何気にこの状況、ちょっと卑怯じゃないか?
「じ、実は……他にも謝らないといけないことが……」
ま、まだあるのか!?
「が、学校でこんなにあなたの悪評が広まったの、その……」
ああ、そういえば後藤くんがこの前教えてくれたな。
俺のあの噂が学校中に広めた、やたらと正義感を拗らせた女子がいたって。
ただ、それが彼女だとは思いもよらなかったけど。
「それももういいから、その……そろそろいいかな?」
俺は少し面倒くさそうにそう言うと。
「う、うう……」
オ、オイオイ!? なんで泣くの!?
これじゃまるで、俺がひねくれて彼女を苛めているみたいに見えるじゃないか!?
「あ、いや! 本当にもういいから!」
俺は焦ったように彼女にそう話し掛けるが、一向に泣き止む気配がない。
ど、どうしろと……。
「ちゃ、ちゃんと事実も知りもしないのに、わ、私が勝手に学校中に根も葉もない噂広げて、ずっと傷つけて……ごめんなさい……ごめんなさいいいい……!」
とうとう彼女はその場で膝をつき、号泣してしまった。
ど、どうするんだコレ……。
「悪いな池田くん……瑞希も思い詰めてしまって……こんなことを言えた義理ではないが、どうか瑞希を許してやってはもらえないだろうか……」
そして今度はマスターまで頭を下げる始末……。
「そ、その、本当に俺はもういいんですけど……」
うう……誰か助けて……って、ハッ!
俺はチラリ、と支店長を見る。
ここは第三者的な支店長に仲裁してもらってこの場を……!
「ハハハ! 塔也ももういいって言ってんだから、二人ともそれくらいにしちゃどうだい? 塔也も困っちまってるじゃねえか!」
そう! それを待っていたんですよ支店長!
「塔也くん……すまない……」
「ヒグ……ごめんなさい……ごめんなさい……」
ふう……とりあえずこの場はしのげたけど、何だか釈然としないなあ……。
「ハハハ! じゃあせっかくなんだし塔也! この際マスターに無理難題吹っかけろよ!」
「ええー……」
支店長……ここでまた面倒くさいことを……。
「そうだな……せめて罪滅ぼしに、私にできることならなんでもさせてもらうよ」
「グス……わ、私もなんでもする……!」
いや重い! 重いから!
し、しかし、ここで何か言わないと、収集がつかないし……って、そ、そうだ!
「あ、あの! ここって今は人手足りてたりしますか?」
「え? い、いや、君が抜けてしまったし、また探しているところではあるんだが……」
「オイオイ!? ひょっとしてうちを辞める気か!?」
支店長が驚いた表情で俺に詰め寄って来る。
近い! 近いです!
「そ、そうじゃないんです。その……もしよろしければ、一人雇っていただけると……」
「ほう?」
マスターが興味ありげに身を乗り出した。
「その……俺の友人で同級生の、“萩月しゆの”という女の子を雇っていただけませんでしょうか!」
そう、俺が思いついた妙案。
それは、萩月さんをこの喫茶店で雇ってもらうこと。
萩月さんもバイト先が見つからなくて困ってたし、ここのマスターなら事情も考慮してもらえそうだし、何より信用できる。
それに。
「あ……は、萩月さんがうちの店に……」
「ん? 瑞希も知っているのかい?」
「え、あ、まあ……うん……」
まあ、彼女からしたら気まずいというか、やりずらいだろうなあ。
というか、萩月さんがバイト中に彼女につらく当たる様が目に浮かぶ。
だって、あの噂を広めた件、萩月さんは超怒ってたし、うちの学校の生徒ならそのことをみんな知っているし。
「そんなことで良ければお安い御用だ! それどころか、うちとしても人手不足も解消できてむしろ願ったりだ!」
「! 本当ですか!」
「ああ! ぜひ今度連れてきてくれないか!」
「はい! それじゃ早速明日にでも!」
よし! 萩月さんのバイト先ゲットだ!
そして、ちょっとだけ意趣返しできて、何気に満足。
「ハハハ! 全部丸く収まって良かったな!」
支店長が嬉しそうにニカッと豪快に笑い、俺とマスターもつられて笑う。
……ただ一人浮かない表情の、マスターの娘さんを除いて。
お読みいただき、ありがとうございました!
明日からは次の章、萩月家関係修復編をお送りします!
次回は明日の夜投稿予定!
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