末路
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今回は須藤凛花視点です!
■須藤花凛視点
「どうしてこうなったの……」
自分の部屋にこもりながら、私は膝を抱えて呟く。
あの日、あのクソ池田とブス萩月のせいで、私の世界は一変してしまった。
私と秀人は学校から録音データとネットに流出したあの時の動画について追及され、結局全てを話す羽目になった。
私が嘘告でクソ池田から金を巻き上げようとしていたこと。
私になびかないばかりか、まるで空気のように扱うクソ池田を嵌めようと、秀人に襲わせたこと。
そして、クソ池田に暴行未遂を受けたように装って、アイツを学校の最底辺に堕としてやったこと。
まあ、二つ目については全部秀人に押し付けてやりはしたけどね。
でも、そんなのも今さら焼石に水で、もはやあの学校に私の居場所はない。
秀人はといえば、学校を退学処分になった後、この街を一人出て行った。
どうやら両親からも勘当されてしまったようで、この街を出る前の日の晩、うちに来た時の彼はものすごく落ちぶれていた。
目には光もなく、薄ら笑いばかり浮かべてたっけ?
「また……逢おうね?」
その言葉を掛けた時の秀人の顔、傑作だったなあ。
ぱあ、と表情を明るくさせて、「頑張る」だの「必ず迎えに来る」だの言って、意気揚々と帰って行ったっけ。
まあ、もう二度と会うつもりはないんだけど。
じゃあ、私の家はどうかと言えば、両親は私を責め立てた。
なんで、こんなバカな真似をしたんだと。
なんでって?
クソ池田を苛めるのが面白いからだけど何か?
クソ池田がこの私になびかないからだけど何か?
「……自分がそっくりそのまま返されてたら世話ないけど、ね」
私はポツリ、とそう呟く。
その時。
——ガン!
ああ、まただ。
誰かが、私の家の窓に石を投げつけたんだろう。
もう何度も投げつけられるものだから、今ではカーテンどころか全ての窓は雨戸で閉じている。
それだけじゃない。
家には私を罵倒するだけじゃなく、両親への誹謗中傷めいたものなど、訳の分からない手紙が何通も郵便受けに入れられていたりして、ママは半ばノイローゼ気味になってしまっている。
スマホだってそう。
これまで私の味方だった、私にへりくだっていたあの連中もすっかり掌を返して、今では誹謗中傷のRINEやメールを送って来るし。暇人かよ。
だからもう、かれこれ二週間、スマホの電源を入れたことはない。
なんでこの私がこんな目に?
なんでこの私がこんな惨めな思いを?
決まってる。
あの二人の……あのクソ池田とブス萩月のせいだ!
「絶対に……絶対に復讐してやる……!」
私は自分の二の腕に思い切り爪を立てる。
爪が食い込んで血が流れることもいとわない程に。
——コンコン。
すると、私の部屋のドアをノックされた。
「……ああもう!」
私はガシガシと頭を掻きむしりながら、ドアを開けると。
「……花凛、話がある」
神妙な顔をしたパパがそう告げた。
「……話って?」
「……私達の今後についてだ」
今後? 今後だって?
私の今後は、あの二人を復讐することなんだけど?
「……リビングで話そう。来なさい」
「…………………………」
仕方ないので、私はパパの後に続き、リビングへと降りる。
すると、既にママがブツブツ言いながらソファーに腰掛けていた。
「……それで?」
パパも私もソファーに座り、私は話をするよう促した。
すると。
「……私達は、この家を引っ越そうと思う」
「へえ……」
この街から離れて心機一転……まあ、それも悪くないかも。
「それで、私達は必要最低限のものだけを持って、早ければ明日にでも家を出ようと考えている」
明日? ちょっと急じゃない?
それに、よくそんな家を見つけられたわね……。
「お前には、毎月五万円を振り込むようにする。それで……」
え? ちょ、ちょっと待って!? 何を言ってるの!?
「ど、どういうこと!?」
「……ママもこんな状態だし、私とママは別の街で暮らす。花凛は学校もあるから、この家に残って……「はあ!? 何言ってるの!?」」
パパから告げられた言葉に、私は思わず声を上げた。
なんで!? なんで私だけ置き去りにされるの!?
「私も悩んだ末、これしか……」
「ふざけんなよ! なんで私だけそんな……「ウルサイ!」」
抗議する私に、ママが突然怒鳴った。
「オマエのせいでこんな目に遭ってるのよ! 石を投げられて! 変な手紙が送られてきて! 不審な電話が掛かってきて! 家から出れば白い目で見られて! 私は何も悪くないのに!」
「ちょ、ママ!? やめ……!?」
怒り狂ったママが私に飛び掛かり、思い切り殴りつけてきた。
「ママ、やめなさい!」
「離して! コイツの……コイツのせいでえええええ!」
パパが間に入って止めに入るが、ママはまだジタバタと暴れている。
「……花凛、分かっただろう。お前とママが一緒に暮らすのは無理なんだ。だから、お前はここで一人で暮らすんだ」
「イヤよ! 私はイヤ! だったらせめて、この家からは出させてよ! お願い! お願いしますう……!」
私はパパに縋りつく。
だって、こんな家に一人残されたら、私の人生終了じゃん!
一歩も家から出ることもできずに怯えながら過ごすなんてイヤなの!
「……お前の分については、向こうで落ち着いてから考える。それまでこの家で大人しくしているんだ」
「そ、そんな……」
パパから無情にも放たれた言葉に、私は膝から崩れ落ちた。
「いいな。お前が何も問題を起こさずにいれば、必ずお前もこの家から連れ出してやるから」
「ホント!? ホントに!? 絶対だよ!」
顔を逸らしながらそう話すパパの胸襟をつかみながら、私はパパの身体を揺さぶった。
大人しくさえすれば……私はここから抜け出せる……!
「あは……あはは……!」
その言葉だけを信じて、私は一人、今もこの家で膝を抱えて待ち続けている。
お読みいただき、ありがとうございました!
今日は幕間を三話更新でお届け!
次回は今日の昼頃投稿!
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