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ボッチな俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ  作者: サンボン
第一章 噂のアイツと神待ちギャル
27/96

俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ

ご覧いただき、ありがとうございます!

噂編、エピローグです!

 ——ピピピ。


 スマホにセットした目覚ましアラームが鳴る。


 俺は目を(つむ)ったまま手探りでスマホをつかみ、停止ボタンをタップす……………………あ。


「んふふー、池っちおはよ」


 既に起きていた萩月さんが、布団の中から俺の顔を見て微笑んでいた。

 うん、最高の寝覚めだ。


「おはよう、萩月さん」

「さ、早く起きて、学校に行かないとね」

「ああ」


 俺達は起き上がると、萩月さんは朝ご飯の支度、俺は布団をたたむ。

 これが俺達の毎朝の仕事だ。


 で、速攻で布団をたたみ終わった俺は、後ろから近づいて萩月さんの様子を(のぞ)き込む。


「あは、もう……準備は終わったの?」

「バッチリ」


 俺に気づいた萩月さんが振り返って苦笑する。

 俺はというと、そんな彼女の問い掛けにニカッと笑顔で答えた。


「で、今日の朝ごはんは……」

「んふふー、今日は豆腐とネギのお味噌汁にだし巻き玉子、それに納豆だし!」

「おお! 萩月さんのだし巻き玉子は最高なんだよな!」

「あは! ということで、池っちは向こうで座って待ってて! その……見られてると恥ずかしいし」

「あ、ご、ごめん……」


 俺は頭を掻きながら、仕方なくテーブルの前に座る。

 でも……結局ここから萩月さんを眺めてるんだけど。


 そうやって萩月さんをボーッと眺めていると。


「あは! できたよー! 運ぶの手伝って!」

「はーい!」


 さあ、朝ご飯を食べて、今日も萩月さんとの幸せな一日の始まりだ。


 ◇


「それで、今日は帰り遅くなりそう?」

「いや、多分いつも通りだと思うけど……もし遅くなりそうなら、RINEするよ」


 俺と萩月さんが通学途中にそんな話をしていると。


「あ————————! しーちゃんから離れて!」


 俺は思わず額を手で押さえる。


 ……静かな萩月さんとの登校は終了してしまった。


「しーちゃん! こんな奴より私と行こーよ!」

「あ! コラ! くっつくなし!」

「ハハハ、なんかワリいな、池田クン」

「……いや、もう慣れたよ、後藤くん」


 あの日以来、俺と萩月さんの通学には、必ず古賀さんが絡んでくるようになった。

 というか、後藤くんだって古賀さんと二人で楽しく登校したいだろうに……いや、そうでもないか。彼はむしろこの状況を楽しんでいるようにも見えるし。


 結局、今日もこの四人で登校することになり。


「じゃあね、池っち!」


 萩月さんは手をブンブン振りながら自分の教室へと向かっていった。


 俺はそれを見届け、自分の教室へと入る。


 すると。


「「「「「…………………………」」」」」


 騒がしかったクラスメイト達がピタリ、と会話を止め、全員が俺に注目する。

 これは以前から変わっていないが、その視線は、これまでの侮蔑から罪悪感といたたまれなさが混じったものに変化していた。


 まあ、だからといって、俺に話しかけるような奴は皆無だが。

 というより、何人かは掌を返すかのように話しかけてきた奴もいたが、「話しかけるな」と俺が一方的に相手にしなかったから、こんな現状になっている。


 もちろん、これはクラスメイトだけじゃなく全校生徒同じ状況だ。

 特に萩月さんと一緒にいる時に話しかけてきた奴なんか、萩月さんに思いっ切り罵倒されてたっけ。


 だが、そもそも俺は萩月さんにしか興味がないので、話しかけてこなくなったこの状況は願ったりなんだが。


 そんなことを考えながら、俺は席についてカバンを掛けると。


 ——キーンコーン。


 ちょうど、朝のHRが始まるチャイムが流れた。


「さあ、HR始めるぞ。席に着くように」


 気怠そうに担任が教室にやって来て、クラスの連中に着席を促す。

 で、一瞬だけ俺のほうを見た後、すぐに他へと視線を変えた。


 まあ、学校としても俺のことは扱いづらいだろうし、この反応も妥当ではあるが。


 というのも、例の録音データや動画がネットに流れたことによって、当然学校側としても対応をせざるを得なくなった。

 一年半前の時は全く動かなかったが、今回ばかりはそうもいってはいられない。

 なにせ教育委員会が入って、当時の状況なども含めて調査することになったんだから。


 で、俺も呼び出しを受けて事情聴取を受けた訳だが、俺は一年半前のあの時と同じことをまた言わされるのが馬鹿らしくて、いい加減な対応であしらった。

 どうせ、コイツ等がまともに取り合うつもりがないのは分かっていたから。


 そしたら案の定、当時の先生が謹慎と減給処分、校長が減給処分を受けただけで対応は終わったし。


 まあ俺も、これ以上こんな学校の連中と付き合いたくもないから、そのほうが楽でいい。


 ただ……学校も、ここの生徒達も、俺がこの学校にいる限り、そして、俺の姿を見るたびに、これまで自分達が犯した過ちを思い出し続けることになる。


 それはそれで、つらいことかもしれないな。

 だからといって、俺はどうとも思わないが。


 そんなことを考えながら、俺は先生のダルそうな話を聞き流しつつ、ボーッと外を眺めていた。


 ◇


「池っちー! お昼行くし!」

「ああ、行こう!」


 昼休みになり、今日も萩月さんが俺を迎えに来てくれた。

 もう前とは違うんだから、俺が迎えに行くって言ったんだが、「今まで通りアタシが池っちを迎えに行きたいんだし!」と、断られてしまった。

 とはいえ、萩月さんが迎えに来てくれるのは、ちょっと……いや、すごく嬉しい。


 俺は萩月さんの元に向かう。

 すると、クラスメイト達は俺を避けるかのように道を開けた。


 はは、前は俺に足を引っかけにきてたのに、な。


「それじゃ、行こうか」

「あは! うん!」


 俺達は最近の昼食スポットである中庭に向かう。

 今までは他の生徒達の視線で萩月さんに嫌な思いして欲しくなかったから、踊り場か体育館裏だったが、もう気兼ねする必要はない。


 だったら、陽当たりも良くて気持ちがいい中庭を選ぶに決まってる。


「ウーン……気持ちいいし!」


 中庭に着くなり、萩月さんが伸びをした。

 俺もそれにつられ、伸びをする。


「さて、今日はどこに座る?」

「んー……じゃあ、あの木の下にしようよ!」


 萩月さんが指差したのは、中庭の端にある木だった。


 そしてあれは……あの須藤花凛に、嘘の告白をされた場所。


 あの後、今回の首謀者である須藤花凛とその彼氏……黒川秀人は当然ただでは済まなかった。


 まず、クズ彼氏のほうは今回の件で退学処分となった。

 当然ながら、せっかく合格した大学の内定も取り消されたようだ。


 それだけじゃない。

 俺が被害届を出していたことが奏功して、クズ彼氏は傷害事件のほうでも警察から事情聴取を受けた。

 ただ、証拠不十分で何の罰も受けなかったんだけど。


 とはいえ、あのクズ彼氏は両親からも完全に切り捨てられたようで、とうとうこの街に居られなくなって、逃げるようにこの街を出て行ったらしい。

 それも、誰にも見つからないように、始発電車で。


 だが、ネットであの動画は今も流れ続けており、どこに行っても付きまとうことになるだろう……とは、後藤くんの談だ。


 須藤花凛も同じような状況だと言える。

 ただ彼女の場合、直接暴力をふるった訳ではないので、学校の処分は停学にとどまった。

 ただし、その間にも学校内での評価は最底辺……つまり、以前の俺と同じ状態になってしまったが。


 そして、停学が明けても、須藤花凛が学校に来ることはなかった。

 それどころか、女子バレー部員の一人が彼女の家の前を通った時、窓中カーテンが閉められていたそうだ。


 何でも、どうやら心無い人間が彼女の家に怪文書を送ったりするらしく、彼女の家族全員、それに怯えているみたいとのことだ。


 ……俺の時で懲りていればいいのにそんな真似をして、つくづく馬鹿な奴しかいないと思うのは、俺だけだろうか。


「……池っち?」

「え? ……ああ、ゴメン。ボーッとしてた」

「あは、もう……シッカリするし!」


 苦笑する萩月さんに、俺は思わず頭を掻く。


 そうだな……あの二人がどうなろうと、俺達の周りがどうであろうと、俺達には関係のない話だ。


「萩月さん」

「んー? 何?」

「俺……萩月さんがいてくれて幸せだよ」

「あは……アタシも、池っちと一緒で幸せだし」


 俺は、この世界一素敵な女の子と、ただ幸せに過ごせればそれでいい。


 こんな俺のたった一人の理解者は、あの日神待ちしていた、ギャルの萩月しゆのさんだけだから。

お読みいただき、ありがとうございました!


明日は幕間的な感じで須藤花凛視点を、そして喫茶店のエピソードをお送りします!

次回は明日の朝投稿予定!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] うわぁ、学校の人達は相当気まずいだろうなぁ……笑 クズ川はまぁ当然の報いとして、須藤も…… ひとまずハッピーな区切りがついて良かったです!!
[一言] 噂編完結、ということになるかな。お疲れさまでした。 人間、そうそう変わらないものですね。まあ、それは彼と彼女も同じなのかも。これを機に友達を増やす、なんていうのは彼のキャラじゃないから。 …
[一言] あら、先生に対しては意外とアッサリと。 まあ、蒸し返す必要なし。と池っちが判断したならそれで良いのでしょう。 ってか、感想欄見てると、須藤よりも喫茶店の娘の方が読者からのヘイト高めな気がし…
感想一覧
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