ギャルとクズ②
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■萩月しゆの視点
「黙って聞いてたら……調子に乗ってんじゃないよ! このカス! ビッチ!」
豹変した須藤花凛が、醜悪に顔を歪ませて汚い言葉で叫んだ。
「あは! やっとクソみたいな本性現したし! つーか、マジでキモチワルイんだけど!」
「黙れ! ブス!」
もう隠す気がない須藤花凛は、続けてアタシを罵倒してくる。
つっても、ボキャブラリーが小学生並みだし。ウケル。
「で? 正体現したアンタは、池っち嵌めたこと、認めるの?」
「はあ? 嵌めた? バッカじゃない? 大体、私があんなに構ってやったのに、私の相手しないアイツが悪いんでしょうが!」
「は? 何言ってんの?」
コイツの言ってる意味が分からず、私は思わず聞き返す。
「アイツはねえ! この須藤花凛がわざわざ嘘告してやったのに『友達から』とかぬかしたのよ! しかも! デートに誘ったりしてもバイトバイトって言って乗ってこねーし、十七歳で枯れてんじゃないの?」
「はあ? 池っちの事情も知らないで勝手なこと言うなし! それに、池っちがアンタみたいなクズ、相手にする訳ないし!」
須藤花凛の言葉に腹が立ったアタシは、ムキになって言い返す……って、相手に付き合ってどうすんのさ!
「とにかく……アンタは池っちに嘘告して、しかも相手にされないもんだから、池っちを嵌めて襲われたなんてでっち上げた……ってことでいいんだっけ?」
「はあ……そうだけど?」
須藤花凛は悪びれもせず、溜息を吐いて頭を掻く。
「へえ……素直に認めるてるし。余裕じゃん?」
「そりゃあね。だって、今さらアンタが『実は須藤花凛のでっち上げでした~!』なんて言ったところで、うちの学校の連中が信じると思う?」
……確かにコイツの言う通り、アタシや葵達が話しても、ほとんどの奴が相手にもしないだろうね。
そもそも、アイツ等にそんな聞く耳があったら、池っちが襲っただなんてデマ、ここまで信じる筈ないし。
ま、証拠があれば話は別だけど。
「んじゃ、次に池っちを襲ったのは、そこのクズの彼氏でいいんだっけ?」
アタシは一人だけボーっと突っ立ってるクズ彼氏をジロリ、と見やった。
「は? 当たり前でしょ。私がわざわざ手を汚すくらいなら、全部秀人にさせるから」
「何だよその言い方! 大体お前がアイツを嵌めて金巻き上げようなんて考えるからだろ!」
「いちいち怒らないでよ!」
そうか……やっぱりコイツ等が池っちを殴ったのか。
「痴話喧嘩なら後にしなよ。で、最後の質問だけど……アンタ、なんで池っちに嘘告なんかしたのさ」
「フン……アイツ、バイトばっかりしてるから、お金持ってると思ったのよ。で、付き合ったフリして、色々貢いでもらおうと思ったワケ。どう、満足した?」
須藤花凛は、まるで吐き捨てるようにそう告げた。
「あは……あはは……」
「? 何アンタ、おかしくなったの?」
ショックでうすら笑いを浮かべるアタシに、須藤花凛は怪訝な表情で尋ねる。
おかしくなったの、だって?
アンタ等クズのクソみたいな理由で、池っちが一年以上も苦しんで、悲しんで……!
こんなの……こんなの……!
「……フザケンナ」
「は?」
「フザケンナ! オマエ等! 池っちを食いものにしようとして! 上手くいかないからって卑劣な真似して池っちを嵌めて! 池っちがこんなに苦しんでるのにオマエ等はのうのうと息をしてて! 絶対に……絶対にオマエ等は許さないし!」
アタシは絶叫に近い大声で叫ぶと、カバンからスマホを取り出した。
「あは! オマエ等の会話、全部録音してあるし! これを一斉にRINEで送ったら、いくら頭の悪いうちの学校の生徒でもさすがに分かるし!」
アタシはこれみよがしにクズ二人に見せつける。
もちろん、このスマホを取り上げられたところで、ちゃんと次の手も打ってある。
だけど、二人の行動はアタシの予想外だった。
「アハハハハ! バッカじゃない! 今、この体育館裏にはアンタと私達しかいないのよ? だったら、アンタがバカな真似できないように、アンタ自身の身体に分からせるだけでしょ!」
須藤花凛がそう叫ぶと、突然クズ彼氏がアタシに襲い掛か……って!?
「っ!? オマエ!?」
「ア、アンタ!?」
クズ二人が驚いた表情で声を上げる。
アタシも……アタシだって、驚きで声が出ない。
ううん……これは、驚きじゃない。
これは……嬉しいんだ。
嬉しすぎて、声を出せないんだ!
「あ……ああ……」
だって。
だって、だって!
「萩月さん! 早く逃げろ!」
だって……バイトに行った筈の池っちが、アタシを助けるために、アタシを護るために、目の前に颯爽と現れたんだから!
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次回は明日の朝投稿予定!
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