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想い続けた異国の少女と二人の約束  作者: 久野真一
第4章 本当の恋人
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第17話 最初の夜

恋人最初の夜なのに、相変わらず凄まじい進展の二人です。


「お母様、ご飯おかわり!」


 帰ってきた後の夕食の時間。

 やけに元気な声でおかわりコールをするミア。


「なんだか、ミアちゃん。昨日よりも嬉しそうね?」

「お母様のおかげ。咲太(さくた)が私の事、すっごく大好きで居てくれたのがわかったから」


 恥ずかしげもなく、そんな事を言ってくれるのが嬉しい。


「だそうだけど、咲太は何か言うことはない?」

「まあ、母さんのおかげだけど、一応、感謝しとく」


 正直、俺が直接気持ちを伝えたかったから不本意だったのだけど、

 結果オーライという奴だ。


「でも、そうなると、今日は2階には近寄らない方がいいわね」

「な、何言ってるんだよ。急に」

「だって、夜の一時、ミアちゃんといちゃいちゃしたいでしょ?」

「そうね。私もイチャイチャしたいわ。咲太もそうよね?」

「ああ。うん。イチャイチャ、したい、かな」

 

 もちろん、その気持ちはあるけど、こうも積極的に後押しされるのはやっぱり羞恥の気持ちを刺激される。


 ごちそう様をして部屋に戻った俺は、先程の事を考えてた。


「ミアといちゃいちゃ……あいつの部屋、行こうかな」


 昼間、空き教室での一時や放課後デートは本当に楽しかった。

 俺自身、まだまだミアと一緒に居たいと思ってしまっている。


「おーい、ミア。入っていいか?」

「いいわよ、咲太」


 ノックをして聞いたところ、OKの返事が出たのでそろっと入る。


「って、その体勢はなんだよ、ミア」


 既にベッドに寝っ転がっていたミアが、

 掛け布団を持ち上げて、俺を誘っている。


「せっかくだから、少し、一緒に寝ながらお話しましょ?」


 少し頬を赤らめながら、そんな嬉し恥ずかしなお誘い。

 もちろん、望むところだけど、その前にミアの意思を確認したい。


「ええとさ。お前のことだから当然わかってると思うけどさ。ベッドに男誘うって、その、エッチな事もOKってことか?」

「そ、それは……まだ心の準備が出来てないから。一緒にごろんとしながらお話したいの」

「そ、そうか。なら」


 正直、お誘いだったら、逆に気遅れしてしまっていた。

 少し躊躇しすつ、ベッドに入り、至近距離でミアと見つめ合う。


「んぅ……」


 唇を押し付けられていたと気づいたのは数瞬の後。

 一瞬、パニクりそうになるけど、落ち着けて、唇の感触を楽しむ。


「!?」


 ちょっと、やってみたかった、舌を入れるキスというのをやってみる。唇を割って、舌を入れてみると、おそるおそるミアの舌がちょこんと触れ合って、それから、舌が絡み合う。


 そんな濃いキスを数分間続けた後。


「ぷはっ。咲太がこんな積極的とは思わなかったわ」

「嫌か?」

「ううん、嫌じゃない。ディープキスって、とっても気持ちいいのね」


 頬が先程よりも上気していて、艶めかしい。


「ああ、なんか普通のキスと違った気持ち良さがあるよな」

「なんだか、もっと咲太のこと好きになっちゃいそう」

「俺も、ミアのこと、もっと好きになりそうだ」


 ディープキスのせいだろうか。そんな言葉を熱に浮かれたような意識でつい口にしてしまう。


「あ、でも、これくらいにしとかないとな」

「ひょっとして……ええと、興奮、しちゃった?」

「ま、まあそういうこと。気にしないでいいから」


 下半身の膨らみを見て気づかれてしまったけど、言い繕っても仕方ない。


「その、心の準備出来てなくてごめんなさい。あんまり待たせるつもりはないから」

「いやいや、俺たち、付き合って、1、2日だろ。ゆっくりで行こうぜ」

「でも、咲太はしたくなっちゃったんでしょ?」

「それは……まあ。でも、男の欲望なんて、そんなものだから」


 安心してくれるように、そう言ったのだけど。


「やっぱり、あんまり待たせないようにするわ」


 ミアの決意をより加速させただけのようだった。

 寝っ転がって間近のミアと見つめ合う。


「なあ、ミア。「約束」の事でちょっと思い出したんだけどさ。昔、二人で時計、自作したことあったよな。ミアの親父さんにキットもらってさ」


 それは、今でも鮮明に覚えている光景。当時、小学校だった俺たちは悪戦苦闘しながら、一つの壁掛け時計を自作したのだった。大切な思い出の一つだ。


「懐かしいわね。初めて時計が作れて、嬉しかったのを覚えているわ」

「ミアの言ってる約束って、その……「時計」にも関係してるか?ひょっとして」


 スイス人の時計技術者を父に持つミアにとって、時計というのは特別な思い入れがある。それは子どもの頃からそうで、だからこそ、何か関係があるのでは、と思うのだ。


「ふふ。もっと時間がかかると思ってたのけど。結構当たりよ?」

「てことは、ミアの進路の話は……なんか、予想ついて来たぞ」


 思い出すと、それらしき「約束」がいくつかある。


「じゃあ、試しに言って見て?」

「確信がないし、もいうちょい待ってくれ」

「別に間違ってても怒らないわよ」

「せっかくだから、俺も確実に当てたいんだよ」

「じゃあ、回答待ってるわね」


 そう微笑んだミアはとても楽しそうだ。


「ふわぁ。なんだか、眠くなって来たわ」

「そうか。じゃあ、俺はかえ……」


 と、ベッドを出ようとすると強い力で掴まれる。


「ねえ、今日は一緒に寝て欲しい」

「そ、それは、エッチじゃない意味、だよな」

「うん。昔みたいに、一緒に寝てみたいの」


 どこか恥ずかしそうに、でも、無邪気に言うミアを見て、俺は敗北を悟る。


「昔、咲太の部屋で、よく二人で寝たわよね」

「小学校の時だけどな。今思うと、恥ずかしいな」


 消灯して、暗がりで話し合う。


「でも、今は恋人同士としてこうしてるなんて、夢みたい」

「それは同じ。ミアみたいな可愛い彼女と同衾してるなんて」

「咲太も格好いいわよ?」

「それはありがとう。ミアには及ばないけどな」


 なんていいつつも、心の中は幸せだ。


「ねえ、これから、一緒に寝ていい?」

「理性が色々ヤバいけど……喜んで」

「良かった。時々、咲太の部屋でも」

「いや、俺のベッドとか男臭いだろ」

「咲太の匂い、好きだから気にしないけど」

「いや、俺が気にするんだよ」


 ミアが何故か俺の体臭を好きなのはわかるけど。

 それはそれとして、嗅がれるのは恥ずかしい。


「私だって、匂い気にしてるんだけど」

「ミアのは普通にいい匂いだと思うけどな」


 くんくん、と匂いを嗅いでみると、

 花のような、甘い香りが漂ってくる。


「まあ、一緒に寝るのはいいけど、ほどほどにな」

「咲太が保たないから?」

「そういうこと。生殺しもいいところだって」

「じゃあ、早く心の準備を済ませるから」

「いや、だから別にそこは急がなくていいって」


 ミアの思考回路は本当にどうなってるんだろうと思う。

 普通、エッチなことって男性が迫るもんじゃないのか?

 さっきから、ミアから全然抵抗が感じられない。


(これも、お国柄って奴なんだろうか)


 付き合ってから、何日目くらいが目安とかそんなことはなくて。

 愛情があれば、いつでもエッチしてもいいでしょ?みたいな。

 そんな、意識の違いを少し考えた夜だった。

恋人初日の章はこれでいったん終わりです。

次章からは、もうちょっと日付をスキップして、普通に(バ)カップルしてる二人と、

二人の馴れ初めみたいなもの(過去話にするかも)を描いていく予定です。予定は予定ですが。

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― 新着の感想 ―
[一言] 全然時間経過してないのかあ。一日。 それでも、恋人になった夜と、次の日の夜が両方「最初の夜」というのは。最初の同衾の夜みたいな? とすると、まだ別の最初の夜が出てくるのかな。
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